2014年6月のオススメ展覧会・美術展
雨の多いこの季節は、室内でゆったりとした時間を過ごせる美術館へのお出かけがオススメです。しっかり湿度管理された空間は、さらりと快適ですよ。◎2014年6月のオススメ美術館-目次-
国立新美術館(六本木):魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展
東京国立博物館(上野):特別展 「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」
横須賀美術館(神奈川県横須賀市):アール・ヌーヴォーとアール・デコ
そごう美術館(神奈川県横浜市):SIMONDOLL 四谷シモン
金沢21世紀美術館(石川県金沢市):レアンドロ・エルリッヒ ―ありきたりの?
20世紀美術を大きく変えた伝説のバレエ団
国立新美術館(六本木):魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展
レオン・バクスト 「青神」の衣裳(《青神》より)1912年頃
オーストラリア国立美術館
Léon BAKST
Tunic from costume for the Blue God from the Ballets Russes' production of Le Dieu bleu (The Blue God),
c.1912
National Gallery of Australia, Canberra
1909年、その後の舞踏、音楽、美術の世界を大きく変えるバレエ団がパリで鮮烈なデビューを飾りました。ロシア出身のディアギレフ率いるバレエ・リュス(かつてはロシア・バレエ団と呼ばれた)です。
内股で踊ったり、性的な動きを取り入れるなど、それまでの上品なバレエを覆す斬新な振付を行った、天才的バレエダンサーのニジンスキー。彼をはじめとするダンサーたちが作り出すどことなくエキゾチックな世界は、たちまちのうちにパリで活躍していたアーティストを魅了し、取り込み、参加させ、さらに新しいスタイルの「総合芸術」として、世界中に大きな旋風を巻き起こしました。
舞台美術はピカソやマティス、ジャン・コクトーやローランサンなどパリで活躍していたアーティスト。音楽はストラヴィンスキー、ドビュッシー、サティなど、豪華なアーティストたちがこぞって参加しました。ストラヴィンスキーの《火の鳥》や、《春の祭典》、いまでもよく聴かれるクラシック音楽はこのバレエ・リュスのために作られたもの。また、リムスキー・コルサコフの音楽を元にした《シェエラザード》や、ドビュッシーの『牧神の午後の前奏曲』を下敷きにした《牧神の午後》などの演目も作られています。
そして、なによりも観衆を魅了したのが、ダンサーたちが身にまとった衣裳。この展覧会は、バレエ・リュスのコスチュームに関して世界屈指のコレクションをほこるオーストラリア国立美術館が所蔵する衣裳をはじめ、デザイン画、関連資料を堪能できる展覧会。身体の動きの美しさにさらに彩りを添えるレオン・バクストやマティス、ブラックなどが手がけたバレエ衣裳は、約40年かけて丁寧に修復され、一堂に会します。
当時のパリの人々が、バレエ・リュスを見て受けた衝撃の一部を感じられる展覧会です。壁を取り払い一面に数々の衣裳が拡がる会場は必見です! まばゆいばかりの衣裳をしっかりと目に焼き付けてください。
■DATA 国立新美術館(六本木):魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展
展覧会名称:魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展
会場:国立新美術館 企画展示室1E
会期:2014年6月18日(水) ~9月1日(月)
開館時間: 10:00~18:00
※金曜日、8月16日(土)、23日(土)、30日(土)は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日: 火曜日
※ただし、8月12日(火)は開館
Web: http://www.tbs.co.jp/balletsrusses2014/
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