5杯のエスプレッソが人生を変えた
「ドキュメンタリー映画を作るために訪れたメルボルン。そこで出会った5杯のエスプレッソが僕の人生を変えた」
メルボルンのカフェのバリスタは、アントワンさんの目の前で同じコーヒー豆から抽出時間やタンピングを変えて5通りのエスプレッソを淹れてみせました。その風味の違いを体験して、彼は大きな衝撃を受けたのです。ちなみにCOUTUMEのもうひとりのオーナー、トムさんもオーストラリアの出身。
アントワンさんの話では、ロンドンのコーヒー店は現在200軒以上に増加していますが、レベルにはばらつきがあります。一方、パリは遅れをとりましたが、現在20軒ほど誕生しているスペシャルティコーヒー店はいずれも高いレベルにあるようです。
COUTUME 1号店の誕生、人生を変えるコーヒー
「パリにはこのムーブメントの影響を受けて新しく4軒のロースターが生まれています」と、狩野さん。その先駆けとなったのはLa Cafeotheque。スペシャルティコーヒーを提供するパリ初のカフェとして、元グァテマラ大使が2005年に開いたお店です。2010年にはCaffe Lomi、続いて2011年にCOUTUME、2013年にBellevilleがオープン。アントワンさんとトムさんが共同経営するCOUTUMEはオープン後わずか2年で多数のレストランやカフェへコーヒー豆を卸すようになり、「高品質、透明性と専門的技術に基づくコーヒー文化をパリで広めたい」という二人の意図通り、パリの人々のコーヒーに対する意識を変えつつあります。
たとえば、かつては大のコーヒー嫌いだったというカフェBLACK MARKET(現在は閉店)の経営者ユーセフさんは「COUTUMEで飲んだエスプレッソで人生が変わった」と、おいしいコーヒーを追究するカフェ、Fragmentsをオープン。狩野さんも大好きな一軒だそう。
コーヒー、人生を変える小さな一粒。そしてCOUTUMEの4店舗目は2014年4月、東京に誕生しました。次ページでどうぞ。