ファンの夢が、夏の阪神を駆け抜ける
「宝塚記念」

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2013年の宝塚記念を制したゴールドシップ(写真 JRA)

競馬では年に2度、ファン投票が実施されるレースがあります。その一つは年末に行われる有馬記念(芝2500m、中山競馬場)。1年で最大級の馬券売上を誇るビッグレースです。

そしてもう一つのレースが、6月下旬に行われるG1宝塚記念(芝2200m、阪神競馬場)です。こちらも有馬記念と位置付けは同じ。「上半期の総決算」とされるオールスターレースで、サマーグランプリとも呼ばれます。

出走資格は3歳以上。それまで同世代と戦ってきた3歳馬は、ほとんどの場合、古馬といわれる4歳以上の馬とは初対戦。そのため、挑戦するケースは決して多くありません。ただし、ごく稀に3歳馬のスターホースが果敢に挑むこともあります。

対する4歳以上の古馬は、宝塚記念までにさまざまな臨戦過程を踏んでいます。スタミナ豊富で長距離戦が得意な馬は、4月末~5月初めに行われるG1天皇賞・春(芝3200m、京都競馬場)を経て阪神へ。スピード豊富な馬は、6月上旬のG1安田記念(芝1600m、東京競馬場)を戦ってグランプリへ向かいます。

また近年は、中東ドバイで春に行われる国際G1レースに出る馬も多くなりました。1日にさまざまな距離でG1レースがいくつも行われる大イベントで、その遠征を終えた後、宝塚記念に照準を合わせる一流馬もいます。いわば宝塚記念は、さまざまな舞台のチャンピオンが会合するレースと言えるでしょう。

唯一無二のコンビが作り上げた、完璧なレコード

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佐藤騎手と人馬一体で宝塚記念を制したアーネストリー(写真 JRA)

宝塚記念の歴史の中で、紹介したいのが2011年。生涯でG1レースを6勝した女傑ブエナビスタや、2010年の日本ダービー馬エイシンフラッシュ、超良血ルーラーシップなどの豪華メンバーが顔を合わせた夏の一戦。しかしその攻防を制したのは、6番人気のアーネストリーでした。

アーネストリーは、直線で切れ味を見せて追い込むタイプではなく、持久力を武器に平均的なペースで粘り込むのが身上。この日は終始、先頭を行く逃げ馬の後ろを追走。ペースを落とさせず絶妙なラップタイムを刻み、直線入り口で早くもスパート。持久力がモノを言う完璧な形を作って、サマーグランプリを制したのでした。

2011年宝塚記念のレース映像(アーネストリーは白帽の2番)

アーネストリーとコンビを組んでいたのは、佐藤哲三騎手。同馬の才能がまだ開花していない頃から馬の特性をつかみ、じっくりと育ててきた佐藤騎手。その彼だからこそできたレース運びと言えるでしょう。何よりの証拠に、アーネストリーの勝ちタイムは2分10秒1のレコード。このタイムこそが、唯一無二のコンビであることを物語っていました。