相続・相続税/生前贈与・贈与税の基礎知識

ご注意!実は贈与税がかかるケース14(2ページ目)

贈与税がかからないと思っているものでも、実は贈与税がかかることがあります。あとから税務署に指摘されないよう、贈与税がかかる意外なケースを確認しておきましょう。

小野 修

執筆者:小野 修

相続・相続税ガイド

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贈与税がかかる意外なケース8

家族間のお金のやりとりだから、贈与税はかからない……とも限りません

家族間のお金のやりとりだから、贈与税はかからない……とも限りません

ここからは、少し変わったケースも含めてご紹介します。

【7】 親族間の貸し借りで返済がされていない
親が子にお金を貸すということは多く、また贈与にはあたらないと考えているでしょう。しかし、お金の貸し借りは明確な返済があってこそ。貸しっ放しで返済は「有る時払い」「出世払い」では、貸し借りではなく贈与(債務免除)と扱われます。少額ずつでも定期的な返済が必要です。

【8】 夫婦共有の不動産なのに、妻がローンを払っていない
自宅の購入時、名義を夫婦2分の1ずつ共有にしたが、実は妻はお金を払っていなかったり、もしくはローンで夫だけが返済しているケース(肩代り扱い)などは、その不動産の持分は夫から妻への贈与と扱われます。贈与税には2000万円の配偶者控除がありますので、自宅に妻の持分を入れたい場合は配偶者控除を利用するとよいでしょう。

【9】 土地などを時価よりも安く売った
親が時価5000万円の土地を子に3000万円で売るなど、親族間では時価よりも安く売買することもあるでしょう。この場合、子が差額の2000万円を贈与されたものと扱われます。

10】 遺産分割をやり直した
相続時にいったん決めた遺産分割を後日やり直した場合は、相続税を計算し直すのではなく、贈与税で調整します。例えば、当初は自宅を長男が相続したが、遺産分割のやり直しで二男が相続することにした、などです。相続税で計算すれば結果の税額は変わらないかもしれませんが、そうは行きません。税務上は長男から二男に自宅を贈与したことになります。

【11】 相続時精算課税とは別に暦年贈与をした
相続時精算課税とは、一定の要件のもと2500万円までの贈与に贈与税がかからない制度です。しかしこの制度を利用すると、その贈与者からの暦年贈与(110万円までは贈与税がかからない)が利用できなくなります。しかも、いったん相続時精算課税を選択すると暦年贈与に戻すことはできません。ご注意を。

【12】 相続時精算課税の範囲でも贈与税がかかることも
2500万円までは複数年の贈与でも贈与税はかかりませんが、贈与が行われた翌年の3月15日までに、贈与の都度申告する必要があります。今年はまだ2500万円以下だからと申告しなかったり、申告期限後に申告したりした場合、20%の贈与税がかかります。なお、この場合でも相続時には相続税との精算が可能です。

【13】 負担付贈与で評価額で計算していた
通常の不動産の贈与は相続税評価額で計算しますが、負担付贈与は時価で計算します。例えば、相続税評価額8000万円の土地と借入金8000万円をあわせて贈与した場合、差し引き0円で贈与税がかからないと思っても、負担付贈与の場合は時価で計算するため、時価1億円の土地と借入金8000万円の差額2000万円の贈与と扱われます。

【14】 借地の底地を親族が買った
父が借地している土地の底地を子が地主から買い取った場合で、その後に父と子の間では地代なしとした場合は、父の所有していた借地権は子に贈与したものとして扱われます。なお、底地買取時にすみやかに「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を税務署に提出すれば、借地権はそのまま父のものとし、贈与と扱われないようにできます。


上記以外にも贈与税がかかることはあります。様々なケースでかかる贈与税は判断が難しいため、大きな財産やお金の移動があったり、思わぬ得をしたりした場合は、一度税理士に確認してみることをお勧めします。

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