私は普段、大手ハウスメーカーを中心に住まいづくりについて取材をしていますが、5月というのは、大手ハウスメーカーの決算が出揃うことから、1年の総決算のような時期と位置づけています。そこで、今回の記事ではその取材で見えてきた住宅需要の動向、今後の住宅トレンドのあり方などについて書いていきたいと思います。

消費増税の駆け込み需要発生で好調だった住宅業界

毎年のことですが、大手ハウスメーカーの決算を取材していると、住宅市場の動向がよくわかるものです。もう各種ニュースでご存じの方も多いと思いますが、今年の決算(2014期・平成26年期)では、アベノミクスによる景気改善や円安の影響を受けて、過去最高の売上高・利益を記録した企業が日本の企業で多数みられました。

決算短信

ハウスメーカーが発表した決算短信。業績の内容を示したものだが、2014年期は概ね好決算となっていた

この傾向は住宅業界も同様で、特に住宅業界は、今年4月の消費増税前の駆け込み需要という追い風も特殊要因となりました。こういうと住宅業界って儲かっているように思われますが、実はそうでもありません。どれくらい儲かっているのか、つまり収益率が良いのかという指標に営業利益率(営業利益を売上高で割った数字)があるのですが、好業績の企業でも10%を超えたくらい。

例えば、通信業界のある企業では16%を超える収益を上げている企業もありますし、それ以外の業界ではさらに大きな収益性を確保している企業もあります。大手ハウスメーカーの中には3%~5%くらいが一般的。「クレーム産業」と揶揄(やゆ)される割には、住宅業界ってあまり儲からない業種だと感じています。

さて、決算説明会でマスコミ関係者が最も注目するのが先行きについてです。というのも、住宅業界はもちろんのこと、我が国の経済の先行きを予想することにつながるからです。特に足下(直近)の状況については非常に高い関心を示すのが一般的です。それは住宅業界についても同様です。

で、最近の報道では百貨店業界では消費増税後もあまり大きな影響を受けておらず、むしろ売上が増えているといった内容を目にします。「アベノミクスによる景気拡大策が効果を発揮している」という論調ですね。では、住宅業界はどうなのでしょうか。

住宅市場の状況は「先行き不透明」

ハッキリいうと、あまり芳しい状況ではないようです。私たち住宅に関わるマスコミ関係者は、今後の指標として「受注」の状況、つまり契約段階に注目するのですが、昨年10月以降の消費税5%の適用期限が過ぎたあたりから、各社とも前年比10~30%のマイナスに見舞われています。

決算説明会

あるハウスメーカーの決算説明会の様子。経営者とマスコミ関係者により、業績や今後の事業のあり方について様々な意見交換が行われる

ちなみに住宅というのは、受注から完工・引き渡しまでに通常6ヵ月ほどのタイムラグが発生します。ですから、消費増税のような市場環境の変化があると、1年後の業績は大きく変わる可能性があるのです。さて、このマイナス幅をどう見るかというのもちょっとしたポイントになります。

例えば今年4月の受注が前年同月比20%のマイナスだったとしましょう。一見、大きなマイナス幅に見えますが、しかしながらマイナスは消費増税の駆け込み需要があった昨年4月との対比です。考え方によっては、通常の住宅市場に戻っただけと考えられます。

このように、ハウスメーカーの決算説明会の会場でのマスコミは、消費増税後の住宅市場がどのように変化するのか、といったことを経営者に対して問いかけるわけです。ちょっと小難しい話になってしまいましたが、このようなお話を紹介するのは、ハウスメーカーの決算に消費者の住宅需要の動向が反映されているからです。

決算説明会で経営者が口を揃えていたのは、「先行きがかなり不透明」ということでした。というのも、来年(2015年)10月に現行税率8%から10%へ再度消費税率がアップする予定であるからです。つまりもう一度、消費増税の駆け込みがある可能性があるというわけで、これがどのように受注、さらにはハウスメーカーの業績に影響を与えるのか分からないというのです。

このあたりを踏まえ、次のページでは消費者が住宅取得にあたってどのような行動をとっているのかについて、考えてみたいと思います。