BMW/BMWの車種情報・試乗レビュー

ほかにはないスマート&クール、BMWi8(3ページ目)

BMWの新たな挑戦、ニューブランド“i”の第2弾となる世界初のレンジエクステンド・スーパーカーがi8。昨年のプロトタイプに続き、ついに“出来上がった”生産仕様に乗ってきました。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

無音で走ること以外、違和感なくドライブできる

BMWi8

最高出力231ps/最大トルク320Nmの直3ターボに、131ps/250Nmのモーターの組み合わせにより、システム出力を362ps/570Nmとした

ドライブフィールは、i3と同様に、極めてフラット、かつ水面を滑るミズスマシのような感覚である。端的に言って、硬い部類。けれども、ボディもまたものすごく硬く仕上がっているため、設計的に制約のあるサスペンションでも、その役目を存分に果たすことができているから、意外に快適だ。よけいな振動もなく、収まりもいいから、多少荒れた路面でも気分が悪くなるような突き上げはない。

街中を流していて気づいたのは、プロトタイプ時に比べて、前後パワートレインの制御が極めてスムースになっていること、すなわちスムースに加速することと、ブレーキの制動フィールがまったくフツウの感覚、i3のようにアクセルオフで停まるようなことがないということだ。要するに、無音で走ること以外、違和感なくドライブできる。室内は、当然、かなりの静けさで、風切り音もなく、聞こえてくるのはタイヤのパターンノイズだけ、だ。

ちなみに、高速スタビリティの高さも秀逸。知り合いのBMWマンが、雨の中、アウトバーンを200km/h以上で巡航しても、まるで怖くなかったと言っていたが、ありえる話である。
BMWi8

駆動類やバッテリーなどを組み込んだアルミ製ドライブモジュールに、CFRP製のパッセンジャーセルを結合

かの有名なマルホランドドライブでスポーツモードを試してみた。攻め込んでみて最初に感心したのが、クルマの軽さと重心高の低さである。すべての操作フィールががっちりと引き締まり、クルマがひと回りも小さくなったようにさえ思えた。その効果は絶大で、ひるむことなく、安心して攻め込んでいける。もっとも、左右の動きがあまりにシャープなため、助手席のカノジョはすぐにクルマ酔いしてしまうかも……。

気になるエンジンフィールはどうか。これが、とても直3とは思えないほどにスムースで、シルキー6をちょっぴり思い出させる。極めつけはサウンド。加速の爆発音が豪快で、さらにシフトダウン時にはド派手なブリップ音も響かせる。

間違っても、トンネルのなかで窓を開けて音を聞こうなどと思わないで欲しい。窓を開けてしまうと、途端に音がしょぼくなってしまう。BMWが培ったレゾナンスシステムの経験をフルに活用したi8は、密閉状態でエンジンサウンドを意図的に心地よく響かせる工夫をしているのだ。
BMWi8

ドライビング・パフォーマンス・コントロールとeドライブにより、パワートレインの作動モードとシャシー特性を走行スタイルに合わせ5種類に変更可能

i8は、全く新しいスポーツカーである。乗っているあいだ中、新しさを経験し、楽しんでいられる。けれども、ひとたびクルマを停めれば、汗ひとつかくことなく、さっとデへドラルドアを開ける自分がいた。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます