今回はそのなかで、物件にかかる諸費用、住宅ローンにかかる諸費用の詳細について解説します。
物件購入のための諸費用
新築マンションの場合の物件購入に関する諸費用の項目は次のようになります。売買契約書に貼付する印紙代
(売買契約時に支払)
不動産の売買に関する契約書のうち、記載金額が10万円を超えるもので、平成26年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成されるものについては、次のように軽減処置があります。
・契約書の金額が1000万円超5000万円以下 1万円(本来は2万円)
・契約書の金額が5000万円超1億円以下 3万円(本来は6万円)
(その他の金額については省略)
住宅総合保険(火災保険)の保険料
(物件代金決済時の1ヵ月前までに支払)
マンションの場合、共有部分は管理組合で住宅総合保険(火災保険)に加入しますが、専有部分については、各所有者が任意で加入することになります。住宅総合保険(火災保険)の保険料は毎月払い、年払い、35年一括払いなどがありますが、住宅ローンの借入条件に35年一括払いなどの条件があれば、必ず一括払いをすることになります。
保険料は物件の所在地、専有部分の床面積、建物構造、補償対象(建物のみか家財も含むか)などにより違いがありますが、補償対象が建物のみで35年一括払いの場合10~20万円が目安となります。なお、地震保険は住宅総合保険(火災保険)に含まれないので別途契約が必要となります。
修繕積立金基金
(物件代金決済時に支払)
マンションの場合、マンションの共有部分(外壁や玄関など)のメンテナンスのために修繕積立金を毎月支払うことになりますが、この修繕積立金の負担を軽減するなどの目的で、物件代金決済時にまとまった修繕積立金(数十万円)を支払う物件がほとんどです。
固定資産税と都市計画税の清算金
(物件代金決済時に支払)
住宅を所有した場合、土地と建物に固定資産税と都市計画税が毎年かかります。
固定資産税と都市計画税は毎年1月1日に土地や建物の所有者に対して毎年課税される地方税(管轄は市町村役場)です。
物件を販売する住宅会社(マンションディベロッパーなど)が既に固定資産税や都市計画税を支払っている場合は、代金決済時(所有権移転日)を基準に日数または月数で案分計算し、所有期間分の固定資産税と都市計画税を負担することになります。
登記費用
(物件代金決済時に支払)
引渡し前の土地の所有者は住宅会社(マンションディベロッパーなど)になっています。また未完成物件であれば建物の保存登記などが必要となります。また、物件の引渡時に所有権の保存登記や移転登記などの手続きを司法書士に依頼する必要があります。そのため、所有権の移転登記の費用は登録免許税と司法書士への報酬が発生します。
売買による所有権移転の登記免許税(国税)は次の通りです。
登録免許税=固定資産税評価額×税率※
※税率について
・土地に関する税率
所有権移転登記は1.5%(平成27年4月1日以降は2.0%)
・建物に関する税率(平成27年3月31日まで)
保存登記は0.15%(通常は0.4%)
所有権移転登記は0.3%(通常は2.0%)
なお、司法書士への報酬費ですが、地域性などもありケースバイケースというのが実態です。登記の項目などにもよりますが10~20万円が目安となります。
不動産取得税
(物件代金決済後数か月以内に支払)
土地や建物を購入などで取得した場合、次のような計算式をもとに土地と建物に不動産取得税(都道府県税)が課税されます。
建物の不動産取得税=(住宅の固定資産税評価額-控除額)×税率
土地の不動産取得税=(土地の固定資産税評価額×税率)-控除額
平成27年3月31日まで、税率はいずれも3%、土地の固定資産税評価額は1/2はとなります。
手続きですが、取得した日から30日以内に、土地、家屋の所在地を所管する都道府県税事務所に申告する必要があります。新築マンションの場合、床面積が50平米以上などの諸条件を満たせば、建物については固定資産税評価額から1200万円控除されます。
また、土地については次のAかBの多い金額が控除されます。
A=45,000円
B=(土地1平米あたりの固定資産税評価額×1/2)×(住宅の床面積 ×2)× 3%
消費税
消費税は建物価格のみ課税されますが、新築マンションの物件価格は建物分の消費税を含んだ表示となっているので、実際は諸費用をして考慮する必要はないといえます。
【参考】
住宅会社(マンションディベロッパーなど)に支払うその他の費用
次の費用は物件価格に充当されるので諸費用とはありませんが、支払項目として必ず発生する費用なので理解しておく必要があります。いずれも物件代金に充当されるので諸費用からは除外します。
申込証拠金
購入したい物件が決まったら、その意思表示をするために、物件の売主に申込証拠金を支払います。金額は10万円程度です。仮に申し込みをキャンセルしても申込証拠金は全額返還されます。申し込みをキャンセルしない場合は次に説明する手付金に充当されます。
手付金
売買契約が成立した時(売買契約書締結時)、契約の証拠となる費用で、物件代金決済時に物件の代金の一部に充てられます。金額は通常物件価額の10%~20%でとなります。仮に買主側の都合で契約を解除する場合はこの手付金は返金されません。
次のページでは住宅ローンに関する諸費用について解説します。