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分譲住宅とは異なり、注文住宅の建築は施主と施工業者の二人三脚による共同作業。よきパートナー選びが欠かせない。

「世の中には絶対的な正解は存在しない」―― 学生から社会人になると、誰もが実感することではないでしょうか。

学生時代には教師という指南役がいて、教科書の中には模範解答が存在しています。そのため、きちんと授業に出席し、教科書や参考書を読んでおけば、自ずと正解が見つけられました。試験前日の“一夜づけ”で一定の点数が取れるのも、すでに正解が存在しており、その正解を暗記しておけば何とかなったからです。

しかし、社会人になると、そうはいきません。新製品やヒット商品の開発は、すべて手探りです。柔軟な発想と企業努力に裏打ちされた結果(商品のヒット)如何(いかん)によって、そのプロジェクトの成否が判断されます。市場に受け入れられて初めて、合格という評価が得られるわけです。

今回、両親宅の新築を経験してみて、改めて絶対的な正解は存在しないことを感じました。「高齢の両親が健康で安心して暮らせるマイホームを建てたい」という目標は明確に定まっていましたが、その目標に到達するまでのプロセスは手探りの連続でした。

分譲住宅とは異なり、注文住宅の建築は施主と施工業者の二人三脚による共同作業となります。イメージした理想の住まいを手に入れるには、よきパートナー選びが欠かせません。しかし、その人選(施工業者探し)が正しかったかどうかは、建物が完成してみないと分かりません。両親の満足げな顔を見て初めて、その選択が間違っていなかったと結論付けられます。100人が100人とも満足する施工業者の絶対的な選定基準が存在しないなか、依頼先選びは苦労が絶えませんでした。

本稿で第3回目となる両親のための高齢者仕様住宅の新築連載シリーズ。今コラムでは、どのように施工業者を見つけたか、決定までの経緯をご紹介します。

依頼先によって長所・短所は様々 特徴を知ることが成功への第一歩 

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業者選択は三者三様、それぞれの特徴を知ることがとても重要

私ガイドはかつて不動産会社に勤務し、主に分譲マンションの営業をしていました。そのため、マンションの販売経験や知識はありましたが、注文住宅の建築知識は素人の域を出ませんでした。そこで、まず初めに取った行動が情報収集でした。図書館と本屋へ足を運び、関連書籍や専門雑誌を手に入れて基本知識の習得に励みました。と同時に、業界に精通した友人や建築士の知人に相談し、アドバイスをもらいました。

こうして一定の情報を収集した後、独自にその情報を整理し、注文住宅の3大依頼先である (1)ハウスメーカー、(2)設計事務所、(3)工務店 ―― この3大カテゴリーの中で、どこに頼むのが一番理想的なのか。手始めに3分類を取捨選択する作業から取り掛かりました。

(1)ハウスメーカー

注文住宅といえば、誰もが最初に思いつくのがハウスメーカーではないでしょうか。名の知れた有名企業も多く、住宅展示場へ行けば豪華なモデルハウスが存在感を示しています。

しかし、私ガイドの頭の中では消極的な選択肢(依頼先)でした。あくまで個人的な意見ではありますが、ハウスメーカーは自由設計の請負契約にもかかわらず、「わが社は坪単価○○万円で建てられます」という売買契約のような営業展開をしている印象を強く持っているからです。大手になればなるほど大量生産・大量販売を前提とするため、どうしても注文住宅を工業製品(規格住宅)同様に扱い、プランの融通性が限定されるのではないかという心配がありました。効率の優先が受益者であるはずの施主の利益に必ずしも結びついていないという不安が、ハウスメーカーを選択肢から遠ざけていきました。

(2)設計事務所

そして、次に検討したのが設計事務所でした。ハウスメーカーとは対極的に、施主ひとり1人にきめ細かく接してくれるのではないかというのが、設計事務所のイメージです。間取りの立案や住宅設備において、施主の要望に忠実に対応してくれる印象を持っていました。

しかし、イメージに間違いはなかったものの、ある設計事務所は「図面作成だけで1カ月以上かかる」と言われ、2014年3月末までに引き渡しを受けたい(消費税率5%)という希望がかなわない可能性がありました。設計事務所は得てして少数精鋭で業務をこなすため、消費増税による駆け込みが顕在化するなか、ひとり1人の業務の負担増が作業スピードを低下させてしまっていたようです。

また、「設計料」という名目で費用計上されることに両親は難色を示しました。ハウスメーカーや工務店でも設計料や監理料はかかりますが、「工事代金×10%」といったような請求方法は父母に受け入れられませんでした。その結果、設計事務所も対象から外れることとなりました。

次ページでは、3番目の工務店について見ていくことにします。