本格的スポーツカーとして洗練された走り
リアタイヤが粘り腰のグリップを発揮。サスペンション形式は前マクファーソンストラット式、後トーションビーム式
さらに走って感じたのは、初代コペンよりもずっと走りの質感が上がっていることです。初代コペンも当時としてはそれなりにがんばっていて、テールハッピーなハンドリングも、それはそれでいかにもFFらしい味ではあったのですが、洗練度に欠ける感があったのは否めません。
ダイハツ初となる樹脂燃料タンクは、軽量化を実現するとともに、衝撃吸収構造のダイヤモンドビードを採用。デュアルテールパイプマフラーはメインマフラーの共鳴構造により走り出しの力強さと高回転時の気持ちよいサウンドを演出
ところがプロトタイプは、サイズこそ軽自動車の感覚ながら、走り味はもっと本格的なスポーツカーをドライブしているかのようです。ステアリングにはしっかりとした手応えがあり、ボディ剛性感が高く、操舵に対して一体感のある走りに仕上がっています。
コーナリングではリアがよく踏ん張るのでターンインで姿勢が乱れることもなく、立ち上がりでアクセルを強めに開けてもあまり強いアンダーステアが出ることもなく、FF車のネガを感じさせません。従来よりも格段にリアがよい仕事をしている印象です。
フレーム構造、モノコック構造をベースとした新しい概念の、骨格のみで高いボディ剛性を実現する新骨格構造「D-Frame」を採用。従来に比べて上下曲げ剛性は3倍、ねじり剛性は1.5倍に向上
フロア下のトンネル部やクロスメンバーなどにも補強を行なっている
ウエット路面で試すことができたおかげで、よりそのよさをダイレクトに実感することができたように思います。乗り心地も、初代は剛性の低さにより悪い部分が顔を出すのを抑えるためか、やや硬めの味付けで跳ね気味でしたが、プロトタイプはとてもしなやかに路面をとらえます。
5月には箱根ターンパイクを占有して、一般参加者向けの試乗会が実施されたようです。おそらく多くの人が2代目コペンの素晴らしい走りを、市販開始よりもひと足早く堪能したことでしょう。発売を楽しみにして待ちたいと思います。
内装も嗜好に合わせて変更可能で、運転席および助手席の加飾パネルオーディオクラスターを替えられる「DRESS構造」を採用するという