判例は裁判所のホームページで、しかし……
行政書士試験は判例がよく出題されるようになりました。ただ、判例を勉強する代表的教材である判例百選であっても、判決文の全部は掲載されていないのが普通です。「判例は原文にあたれ」というのが、法学部でも法科大学院でも異口同音に言われる法律教育の基本です。判決の原文はどうやって見ることができるかですが、著名な判例は、裁判所のホームページの判例検索で読むことができます。
行政書士試験に出題される判例は、ほとんどが最高裁判例であり、しかも特に著名な判例が多いのが特徴です。ですから、読もうと思えば判決の全文を読むことができます。
ただ、現在の試験のレベルを考えると、判決文の原文にあたる必要はないと思います。理由は、主に判例の結論だけを問う出題方法だからです。なお、判決文の空欄を補充するような出題、判例評釈のような出題もあります。これらの問題は判決文が重視されるような印象をうけますが、国語の問題と考えて文章の前後関係などから答えを導き出すことは可能です。
このように考えると、法学教育において判決文の原文にあたることは大切ですが、効率を考えると行政書士試験のレベルにおいては不要だと思います。よって、ネットで判例情報を集める必要はないと思います。
条文は「ページ内検索」で整理、ゴロ合わせ収集はほどほどに
条文はテキストや六法に掲載されています。改めて、条文をネット上で検索する必要はあるのでしょうか。私は「ページ内検索」(Firefoxの場合)は意味があると思います。条文で「ページ内検索」を使うと簡単に条文整理ができます。例えば、行政手続法において、条文が法的義務か努力義務かを問う問題は繰り返し出題されています。これに対処するには行政手続法の努力義務の条文をピックアップして覚えないといけません。
そこで、行政手続法の条文の掲載されているサイトで、「ページ内検索」で「努」という単語で検索にかけると、努力義務の条文が簡単に検索でき、行政手続法には10カ所あることがわかります(なお、準用条文がある場合もあるので注意が必要です)。このように「ページ内検索」をうまく使うと非常に役立ちます。
また、行政書士試験は暗記が中心の試験であり、多くの条文を覚えないといけません。そこで、暗記となるとゴロ合わせを好む人がいます。先行する司法試験や司法書士試験の歴代受験生が考案した条文のゴロ合わせが実は相当な数存在し、その一部が掲載されています。
しかし、ゴロ合わせにはまると、これが何のゴロ合わせかわからないということになりかねません。また、もっと他にゴロ合わせはないかと、際限のない宝探しが始まります。ゴロ合わせはほどほどに。
ゴロ合わせによって機械的に暗記しようとするのではなく、条文の趣旨を調べて理解する方が有益ですし、時間の短縮になることも多いと思います。