あるところにミニチュア・ダックスフンドと暮らすご家族がいました。犬の名前はジョン(仮名)、6歳、男のコ。ジョンがやって来た当初より、ご家族全員それはたいそうな可愛がりようで、ジョンは幸せな犬生を送るだろうと思われました。しかし、最近になって、ある異変が表れたのです。


可愛がる=食べ物を与える、ということではない

与え過ぎは禁物

愛犬には適量な食事と、適度な食材を与えたい

家族はジョンを連れてよく外出しました。散歩の時はもちろん、ちょっとした買い物や、旅行に出かける時にも、ジョンパパさんのズボンのポケットにはジョン用のおやつがたっぷり入った袋が。オスワリができたと言ってはそのおやつを3つ4つ与え、車の中でお留守番ができたと言ってはまたおやつを与えます。ジョンママさんやお子さんたちも、その様子を嬉しそうに見つめていました。お子さんたちもパパにならっておやつを与えたがり、ジョンはさらに美味しいおやつをゲットできたことに尻尾をパタパタと振り続けます。

もっと若い頃は少々ころっとはしているものの、それなりにダックスフンドらしい体つきをしていましたが、数年の後にはボンレスハムのような体になってしまったジョン。肩や首周り、脚には皮膚の弛みがあり、背骨は凹んで、眼球も飛び出ているようにさえ見えます。何より、呼吸が苦しそうで、歩くのもヨタヨタという感じです。

ジョンがよくもらっていたおやつは直径が2~3cmあるジャーキーの塊で、事あるごとに何個も与えられていたのですから、ミニチュア・ダックスフンドの体からしたら1日で相当な量を食べていたことになります。その他、ジョンはから揚げが好物で、食事の折にはよくもらっていたようでした。

現在、ジョンは自分の体を支えきれず、4本の脚すべての関節を痛めて歩くことができなくなってしまいました。

「獣医さんにはもっと痩せさせないとダメだって言われたんだけどね……」

ジョンパパさんはそう言うと、カートに乗せたジョンを撫でながら、いつものように袋から大きなジャーキーを出してジョンに食べさせました。

飼い主の食習慣や犬への接し方が肥満に大きく影響

当たり前のように聞こえますが、飼い主が適正体重もしくはスリムな体型であると、その人の愛犬も適正体重であることが多く、飼い主がふっくら体型もしくは肥満であると、その人の愛犬も同じように肥満傾向である率が高くなります。実際、ジョンパパさんも、そのお子さんたちも肥満体型でした。

これはイギリスでの話ですが、この5年間でペットの体重について大きな変化があり、犬や猫の半数近くが肥満もしくは太り過ぎである状況だということです。それはウサギや小鳥にまで及び、犬や猫ほどではないにしろ、過体重に悩むペットが増えているということ。イギリスの獣医師は、ペットに与える食事の内容や与え方、つまり飼い主の姿勢に要因の1つがあると指摘しています。

イギリスと言えば、OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development/経済協力開発機構)が公開しているデータによると、国民の肥満度が成人男性で22.1%、成人女性で23.9%。ちなみに、日本の場合は成人男性で4.3%、成人女性で3.5%となっています(*1)。

OECD加盟国の中では、1980年以降、多くの国で肥満率が2~3倍に上昇し、今後、一部の国では3人に2人が肥満もしくは過体重になるだろうと予想されているらしいですが、ペットの肥満も人間のそれに追随するということなのでしょうか。

それはともかく、日本の肥満犬率は、これまで4頭に1頭と言われていました。しかし、今後はもっと増えていきそうです。


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