健康には、食べることと同様に排泄も重要
現代人の食事は、食物繊維が不足しがちです。
経験的に、便秘は、不快な症状、例えばおなかが張る、食欲不振、肌トラブルなど、病気とまではいえない様々な症状をもたらすといわれていました。
近年は、プロバイオティクスなど、腸と免疫機能の関わりはよく知られるようになりました。腸内には免疫細胞が集まっているため、腸内環境が整っていることが免疫機能が十分発揮できることにつながります。腸内環境が悪化すると、風邪やインフルエンザにかかりやかくなったり、またアレルギー症状が出やすくなると考えられています。
過去の記事「やさしい健康法プロバイオティクス」でも紹介していますので、ご覧ください。
便秘で栄養素の吸収低下・酸化ストレスも?
便秘になると腸の働きが鈍くなり、長く続くと不快な症状が表れるということは、イメージや経験からわかると思いますが、具体的な研究で便秘により栄養素の吸収する力が低下すること、また具体的に吸収しにくくなる栄養素が明らかにされました。この研究は、カゴメ株式会社と大妻女子大学の共同研究によるもので、便秘傾向者では、栄養素の中でもビタミンB2、ビタミンB6、葉酸の吸収効率が低いこ とが示唆されました。また、便秘傾向者は非便秘傾向者と比べて強い酸化ストレスを受けていることもわかりました(2014年3月日本農芸化学会2014年 度大会で発表)。
ヒトレベルでの便通と栄養状態との関連性を検証した研究報告は少なく、たいへん興味深いものだと思います。今後は便秘傾向者の便通状態を改善することで酸化ストレスの数値が改善されるかどうかの検証に取り組まれるそうです。
ビタミンB2は、糖質・脂質・タンパク質のエネルギー代謝に必要なビタミン。不足すると、口内炎や脂漏性皮膚炎などができやすくなったり、肌荒れや髪の毛が傷むことがあります。成長期の人や、運動量の多い人はビタミンB2の必要量が増えます。
ビタミンB6は、たんぱく質や脂肪の代謝に必要です。腸内細菌によって合成されるため、欠乏症は起こりにくいのですが、抗生物質を長期間服用していると、腸内細菌の育成が妨げられるので注意が必要です。
葉酸は、新しい細胞をつくりだすためのたんぱく質の合成に必要です。またビタミンB12とともに造血を助ける働きがあり悪性貧血を防ぎます。
次のページでは、便秘とお肌や脳との関わりが分かります。