オカダが本当に凄いなら俺を相手に証明してみればいい!
――今までMVPを連続受賞しているのは猪木さん、鶴田選手、天龍さん、オカダ選手の4人だけですが、コメントを求められたオカダ選手が「猪木選手、鶴田選手、天龍選手、その3人は僕と同じ時代じゃなくてよかったなと。同じ時代だったら、そんな記録はできていないと思いますので、僕よりも大分、前の時代にプロレスラーとしてそういう記録を取れたことを、僕に感謝してほしいなと」と言ったことに対してですか?天龍:猪木さんもジャンボも現役じゃないけど、俺は現役だからね。その言葉を見過ごすわけにはいかないんだよ。
――ただ、オカダ選手の場合にはレインメーカーというキャラクターがあって、新日本の先輩たちにも高慢な言葉を浴びせているので…。
天龍:俺は新日本のレスラーじゃないんだから、そんなことは通用しないよ。キャラなのか、自惚れなのか、本心なのかは知らないけど「自分が吐いた言葉には責任を持てよ」ということだよ。俺にしてみたら、コケにされたらリングでケリをつけるしかないでしょ? 同じようなことをスポーツ新聞に言ったら「天龍がオカダに挑戦!」というニュアンスの記事になっていたけど、別に挑戦するんじゃないんだよ。IWGPのベルトも新日本の関係なく、俺にとっては降りかかってきた火の粉を払うだけの話。俺は今、オカダと同じ時代を生きているプロレスラーなんだから、それだったら実際に俺と闘って試してみろよと言いたいよ。
――では、今回の一件と関係なく、天龍さんはオカダをプロレスラーとして純粋にどう評価していますか?
天龍:背が高くて面白い奴が出てきたという感じはありましたよ。「これが、新日本が次期エースとして扱っていく男なのか」と注目していたけど、あの発言があって、より注目して観るようになったよ。そう言われてから観るようになると、猪木さんほど多彩な技があるか、ジャンボほど凄いかって言ったら「そうじゃないだろ!」っていうのが目に付き始めたんだよね。そいつが諸先輩のことをどうのこうのと言ったことに文句言えるのは、まだ現役でやっている俺しかいないからさ。そういうところだよ。ツバ吐いたら、誰かにかかるわけだからね、そこはキッチリと始末つけなきゃ駄目でしょ。本心を言ったのであれば、まだ俺が現役で残っているわけだから証明すればいいしてみればいいし、そんなこと言うほどオカダ・カズチカが凄いんであれば「そんな凄い奴とやってみようじゃないか!」って思うのは俺のレスラーとしての性だよ。
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今後の抱負を聞くつもりでいたのが思わぬ方向に話が進んでしまいましたが、天龍に「長い付き合いなんだから、これは絶対に記事にしてくれよ」と念を押されてしまいました。今を第一線で生きる天龍にしてみれば、オカダの発言は看過できなかったのでしょう。
現実問題として、今の新日本プロレスは若い選手が中心になっています。今年3月の春の最強トーナメント戦『ニュージャパン・カップ』にしても天龍より2世代も下の永田裕志、中西学、小島聡、天山広吉といった“第三世代”と呼ばれた選手たちさえもエントリーされず、それよりも若い世代で開催されました。今の新日本にとって天龍は「歴史上の人物」と言ってもいいかもしれません。そう考えると実現の可能性は低いと考えざるを得ません。
ただ、これからオカダが新時代を構築していく上では、レジェンド・キラーになって歴史上の大レスラーを踏み台にしていくというのもひとつの手段にはなると思います。天龍を通して、違う時代を生きた先人たちを感じ取ることはオカダにとってプラスになることは確かです。そう考えると、この対決の気運が今後盛り上がりを見せるのかどうか注視していく必要があります。何より、声を上げたのが、今まで不可能と思われていた対決を数々実現させてきた天龍であるということを忘れてはいけません。