母が腰痛を発症 身体の不調に伴い初めて気付く、古来の住宅の住みにくさ
新築から35年が経過したわが家
耐震性能は現在の新耐震基準に適合しておらず、また、断熱性能も不十分であり、「夏は暑く」「冬は寒い」という住宅としての基本性能が非常に劣った家になっています。当時としては標準的な住宅だったはずですが、建築技術の進歩に伴い、相対的に陳腐化してしまいました。
温水設備もない昔のトイレ
しかし、およそ5年前から母が腰痛を訴えるようになったことで、生活状況は変わっていきました。健康なときには気付かなかった住宅の作りが不便に感じるようになっていったのです。
古来の住宅にありがちな狭い居住面積や住宅内の温度差(ヒートショック)など、内在する構造上の問題が母の健康を蝕(むしば)んでいきました。さらに、和式の生活スタイルが膝(ひざ)や腰に負担を掛けました。畳の生活は足腰への負担となっていきました。
加齢による身体機能の低下が、高齢者住宅の新築へと駆り立てる
そこで、入院して治療を受けたり、断続的に接骨院に通うなど、本格的な療養生活を始めました。ところが、改善するどころか骨粗しょう症によって圧迫骨折(骨がつぶれること)を繰り返し、その周辺にある神経が刺激されて激しい痛みに苦しむようになりました。骨粗しょう症とは、骨密度が低下(骨がスカスカ)して骨折しやすくなる病気のことです。骨粗しょう症は閉経後の女性に発症しやすい病気だそうで、女性ホルモンと骨量が密接に関わっていることが影響しています。
加齢に伴い身体機能が低下するのは、うちの母に限ったことではありませんが、会うたびに「痛い痛い」という母の眉をしかめた様子は息子として見るに耐え難いものがありました。現在も一戸建てに住んでいるため、在宅介護仕様へと大規模リフォームする方法もありましたが、仮住まいの面倒や2回も引っ越ししなければならない煩わしさが障壁となり、新たにバリアフリー住宅を新築する方法を選びました。
こうして、両親の終の棲家(ついのすみか)探しが本格始動しました。長男である私ガイドも最後の親孝行と考え、全面協力する覚悟を固めました。
※次回(第2回)は、理想の土地(敷地)が見つかるまでの経緯をご紹介します。