注文住宅/家づくり物語 実例を通して

築35年のわが家、自宅の新築が必要になった理由とは?(2ページ目)

私事ですが母が要支援2の認定を受け、日常生活もままならない状態になったことで、両親が自宅を新築することになりました。そこで、僭越(せんえつ)ながら建設プロセスを公開し、同じような境遇の人に役立ててもらおうと本コラムで連載することとしました。すべて実体験に基づくリアル情報です。新築検討者には知識の向上として、また、そうてない人にも1つの読み物として楽しんでいただければ光栄です。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


母が腰痛を発症 身体の不調に伴い初めて気付く、古来の住宅の住みにくさ 

自宅の写真

新築から35年が経過したわが家

右の写真が現在の両親宅です。私自身も、この家で社会人になり自立(一人暮らし)するまで約13年間住んでいましたが、すでに築年数は35年を数えるまでになりました。

耐震性能は現在の新耐震基準に適合しておらず、また、断熱性能も不十分であり、「夏は暑く」「冬は寒い」という住宅としての基本性能が非常に劣った家になっています。当時としては標準的な住宅だったはずですが、建築技術の進歩に伴い、相対的に陳腐化してしまいました。

自宅のトイレ写真

温水設備もない昔のトイレ

35年間、トイレも改修せずに新築時のまま使い続けているため、温水シャワーどころか暖房便座の機能すらありません(右の写真)。使える(壊れていない)のであれば使い続けようというわけです。いたずらに両親は生活レベルの向上を望みませんでした。それでも「住めば都」とはよく言ったもので、元気なうちは何とかなっていました。

しかし、およそ5年前から母が腰痛を訴えるようになったことで、生活状況は変わっていきました。健康なときには気付かなかった住宅の作りが不便に感じるようになっていったのです。

古来の住宅にありがちな狭い居住面積や住宅内の温度差(ヒートショック)など、内在する構造上の問題が母の健康を蝕(むしば)んでいきました。さらに、和式の生活スタイルが膝(ひざ)や腰に負担を掛けました。畳の生活は足腰への負担となっていきました。

加齢による身体機能の低下が、高齢者住宅の新築へと駆り立てる 

そこで、入院して治療を受けたり、断続的に接骨院に通うなど、本格的な療養生活を始めました。ところが、改善するどころか骨粗しょう症によって圧迫骨折(骨がつぶれること)を繰り返し、その周辺にある神経が刺激されて激しい痛みに苦しむようになりました。

骨粗しょう症とは、骨密度が低下(骨がスカスカ)して骨折しやすくなる病気のことです。骨粗しょう症は閉経後の女性に発症しやすい病気だそうで、女性ホルモンと骨量が密接に関わっていることが影響しています。

加齢に伴い身体機能が低下するのは、うちの母に限ったことではありませんが、会うたびに「痛い痛い」という母の眉をしかめた様子は息子として見るに耐え難いものがありました。現在も一戸建てに住んでいるため、在宅介護仕様へと大規模リフォームする方法もありましたが、仮住まいの面倒や2回も引っ越ししなければならない煩わしさが障壁となり、新たにバリアフリー住宅を新築する方法を選びました。

こうして、両親の終の棲家(ついのすみか)探しが本格始動しました。長男である私ガイドも最後の親孝行と考え、全面協力する覚悟を固めました。

星

 

この連載では高齢者仕様の新築一戸建て住宅の建設プロセスを公開することで、一戸建て検討者へ実体験に基づくリアル情報を提供したいと考えています。住宅の新築には、いくつもの選択と決断が求められます。その判断材料として、ご活用いただけることを期待しています。

※次回(第2回)は、理想の土地(敷地)が見つかるまでの経緯をご紹介します。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます