自宅の完成写真

理想のマイホームを新築するには、あらゆる条件を満たした最適地を見つけることが必須条件

突然ですが、本コラムの読者の皆さんは「一目惚れ」の経験はありますか?――

勝手な想像ですが、ティーンの学生さんだと一目惚れの相手は彼氏や彼女、アラサー女子だとブランド品、車好きな中高年男性であれば高級スポーツカーなど、その対象は人それぞれでしょう。

私ガイドも2年前ですが、一目惚れして靴を衝動買いした経験があります。定価16万円の英国製のインポートシューズでしたが、デザインや履き心地に心を奪われ、即決してしまいました。価格以上の価値があると感じ、迷うことなく決断です。もちろん、今でも大切に履いています。

さて、突然に一目惚れの話から始まり、自宅の新築と一体どのような関係があるのかと、読者の皆さんは感じていることでしょう。実は、不動産の売買でも一目惚れは存在するのです。

今回は両親のための高齢者仕様住宅の新築連載の2回目。土地探しの経緯について、実体験をご紹介したいと考えていますが、そのキーワードが「一目惚れ」です。希望の条件に適した不動産(住宅適地)は、思いがけず目の前にやって来るのです。

「理想」と「現実」のギャップに阻まれ、住まいの選択肢は狭まるばかり 

わが家は約5年前から母親が腰痛で日常生活に支障が出てきたことから、本格的に住み替えを考えるようになりました。ただ、当初から注文住宅に決めていたわけではなく、自宅の近くで建売り住宅が売り出されれば、両親は時間を見つけて見学に行っていました。

しかし、一般の建売り住宅はミドル世代のファミリー層を念頭にした設計が多いため、高齢者仕様の住宅を求めるシニア世代の両親には向かず、理想の住宅には出会えませんでした。そこで、長男である私からはカギ1本で外出でき、耐震性や断熱性能に優れている分譲マンションも検討するよう勧めましたが、両親は一度もマンション生活の経験がなく、また、管理費や修繕積立金を毎月支払うことにも抵抗感を感じており、分譲マンションは完全に選択肢から除外されました。

高齢者になると身体機能の低下に伴い、周辺環境への適応能力が衰えます。母親にも同様の傾向が表れていました。そのせいか、「ご近所の顔ぶれが完全に変わるのは嫌だ」「周りに知らない人ばかりが住んでいるところには住み移りたくない」という、立地にはかなりの強い“こだわり”を抱くようになり、さらに住み替え先の選択肢は狭められていきました。

両親の間では老人ホームや高齢者向けの福祉施設も検討対象に挙がっていたと聞いていますが、幸い父親がいたって健康であるため、最終的には施設への入所は除外されました。

「あれはダメ」「これは嫌だ」と自ら選択の幅を狭めていってしまった結果、理想と現実のギャップに阻まれ、マイホーム探しは完全な迷走状態に陥ってしまいました。いたずらに時間ばかりが過ぎ去り、気が付けば2012年も師走を迎え、また1年が過ぎようとしていました。

ところが、思いがけない幸運が舞い込んできました。希望条件に適した土地がタイミングよく売り出されたのでした。迷走にも出口の光りが差し始めました。次ページで、その経緯を両親の心理を交えながらご紹介します。