抗疲労成分として注目されるイミダゾールジペプチド
鶏胸肉には、イミダゾールジペプチドが多く含まれています。
イミダゾールジペプチドとは、カルノシンとアンセリンという(β-アラニンとL-ヒスチジンが結合した)ジペプチドの総称。渡り鳥やカツオやマグロといった回遊魚など、長時間にわたって運動する生物の骨格筋中に多く含まれています。
イミダゾールジペプチドは、ヒトが経口摂取した場合、骨格筋に移行することが報告されていることから、抗疲労物質として有望と考えられています。
詳しくは、過去の記事「大阪市が産官学で取り組む「抗疲労食プロジェクト」」をお読みください。
脳の疲労を緩和! うつや認知症予防にも期待
またつい最近では、東京大学の研究(アルツハイマー病モデルマウスを用いた実験)で、イミダゾールジペプチドの一つカルノシンが脳の疲労を緩和することで、記憶機能の低下を回避し、認知症予防作用があることも発見されました。今後は、その作用メカニズムの解明や臨床試験を通じて、さらに検証を進めていかれることとなりますが、日本社会は4人に一人が高齢者となり、認知症患者が急増しており、認知症の新しい予防法を開発するものとして期待が寄せられています。
さらに同大学では、鶏肉に含まれるイミダゾールジペプチド含有食品の3ヶ月間摂取することにより、摂取後に記憶に関連する脳部位の萎縮が抑制され、うつ傾向と認知機能に改善傾向が認められたと報告しました。
と、同大学では示しています。毎日の食事の中で、食肉や魚肉を適量摂取することは、体にとって必要なイミダゾールジペプチドを適切に補うことにつながり、結果として脳や心の健康維持に貢献する可能性が期待される。