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いまさらながらの「恋するフォーチュンクッキー論」(2ページ目)

去年のヒット曲を、何で今ごろ? と思うかもしれませんが、ある程度の時間が経過してみて、改めて時代を超えて残る曲だと確信させられました。AKBについては、ほとんど知らない当ガイドですが、どこまで曲の素晴らしさに迫ってみようと思います。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

お笑い・バラエティ番組ガイド


「目線の低さ」が魅力に

どうってことのない日常を、分かりやすい言葉で綴ったように聴こえる「恋チュン」ですが、歌詞を読み込んでいくと随所に気になる表現があります。例えば、 サビの所で「涙のフォーチュンクッキー」というフレーズが唐突に出てきます。歌の中の主人公が、落ち込んでいる気持ちを持ち直し始めたところで、なぜ 「涙」が出てくるのか?その理由を考えてみましょう。

つい最近まで、洋楽の邦題に無理やりのようにして「涙の~」って付ける流れがありました。その大部分は明るい曲調で、タイトルと合ってないなぁと、洋楽苦 手な当ガイドは不思議に思ってましたが、その流れに則ればタイトルが「涙のフォーチュンクッキー」でも一向に構わなかった訳です。

これまでにもAKBには「涙の~」という曲がいくつかあるようですが、今回ばかりは悲しみを連想させるワードを使いたくなかったような気がします(そう考えた理由については後述します)。
カフェテリアどころか、スーパーやコンビニでも流れまくった「恋チュン」。いつのまにか誰の耳にも馴染んでいくという、昭和的なヒットの流れに乗っていました。しかし、全体の構造は意外と複雑にできてます。

歌の主人公は恋に臆病な女の子ですが、サビ部分からはそんな彼女を励ます歌詞へと視点が変わります。そこまでは良いとしても、その励まし方が「あっと驚く奇跡が起こる」とか、「未来はそんな悪くないよ」とか、どことなく頼りない(笑)。最終的には「明日は明日の風が吹くと思う」と、まるで自分に言い聞かせ てるかのような言い回しになってしまう。

これまでの「人生の応援歌」から感じられた、上から目線的なスタンスじゃないですね。地味な性格のクラスメイトが、友人がこれ以上落ち込まないよう、一生懸命慰めているような映像が浮かんできます。「涙のフォーチュンクッキー」という歌詞は、この慰めている彼女の「涙」を現しているのかもしれません。

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