華麗なる手仕事の競演
金沢のお土産を語る上で外せない伝統工芸品。美しいけれど高くてとても手が出ない!というイメージが強いですが、お土産にぴったりな普段使いできる銘品や乙女心をくすぐる大人可愛い小物も多いんですよ。鮎釣りで使う加賀毛針の高度な技術を応用した可憐で清楚なフェザーアクセサリーは自分用に、九谷焼の染め付けぐいのみは小粋に手描き加賀友禅の小風呂敷に包んで大切な人へ。色とりどりの絹糸が織りなす綾にため息が漏れる加賀てまりは小さな子供にも喜ばれます。
他にも装剣技術から発達した加賀象嵌(かがぞうがん)は装飾品からステーショナリーまで幅広い商品が揃っていますし、鮮やかな色彩の加賀繍(かがぬい)は気品があり、華やかでありながら主張しすぎない図柄は年代問わず人気です。
艶やかな加賀友禅の世界で時を忘れる
京都の祇園と並び称された金沢の一大花街『ひがし茶屋街』にある『久連波(くれは)』は江戸末期の安永5年(1776年)より続く老舗呉服店『ゑり虎』が経営する加賀友禅を中心とした和小物や地元作家の作品を展示・販売しているショップ。甘味や軽食をいただける茶房が併設されているので、ショッピングの前後にぜひ日本三大和食処に数えられる金沢の繊細で美しい和菓子の数々をご賞味あれ。何と言っても『久連波』で提供している上生菓子は料亭・茶席専門で市販されていない和菓子店『吉はし』のもの。食べないと損ですよ。
また、加賀友禅の着物をレンタルできるので(1時間4000円~、要予約)、加賀友禅を粋に着こなして紅殻格子の建物が立ち並ぶ風情溢れる茶屋街をそぞろ歩いてみては。
■久連波
住所:〒920-0831 金沢市東山1-24-3
TEL:076-253-9080
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜日
優美で可憐な水引細工にうっとり
加賀水引として全国にその名を轟かせている津田水引折型(つだみずひきおりがた)は、金沢の伝統工芸の中では比較的新しく、約100年前の明治時代に初代の津田左右吉がそれまで平面的だった水引細工を立体的なものに進化させたことに始まります。良質な素材を用い、熟練の職人によって製作される津田水引折型の水引はクオリティはもちろんのこと、その作風は優美で華やか。慶事に相応しく、大切な記念日に彩を添えてくれることでしょう。
コースター(648円・税込700円)や簪(905円・税込977円)、ストラップ(1,524円・税込1,646円)などの小物は女性受け抜群。自分用やお友達用にどうぞ。
■津田水引折型
住所:〒921-8031 金沢市野町1-1-36
TEL:076-214-6363
営業時間:月~金10:00~18:00 / 土10:00~12:00
定休日:日曜日、祝日
希少中の希少伝統工芸を守る金沢でただ1人の和傘職人
個人的に物凄くお勧めな工芸品が金沢和傘。というのも、金沢和傘の職人は今や金沢でたった1人しかいないからです。藩政時代から人々の生活に根差していた和傘は、洋傘の普及とともに徐々に衰退し、その職人もまた、1人また1人と姿を消していきました。現在、金沢でただ1人となった和傘職人の松田弘さんは12歳から傘職人だった父に弟子入りし、以来この道78年の名匠。和傘は30もの工程を経て作られるのですが、全工程を一貫生産することができるのは松田さんだけで、松田さんは弟子を取っていないため、松田さんがいなくなったら、金沢和傘は終わりなんです。
松田さん曰く、“決して合理的ではないけれど、差す人を美しく見せるための道具”である金沢和傘。鮮やかな紋様と色彩が特徴で、開いた和傘が一堂に会する様はまさに百花繚乱、この世のものとは思えない美しさです。
世界で一番美しい傘と言っても過言ではなく、合理的じゃないとは言え、手入れが良ければ半世紀も使うことができるので、松田さんが元気でいる間に1本、オーダーしてみてはいかがでしょうか(1本3万円~)。
■松田和傘店
住所:〒921-8023 金沢市千日町7-4
TEL:076-241-2853
営業時間:9:00~18:00
定休日:不定休