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絶対リターンを意識した運用成果の日本株ファンド

2014年の注目日本株ファンドとして2013年12月18日にご紹介した、コモンズ投信が運用する「ザ・2020ビジョン」。運用が開始されてから3ヵ月が経過し、2014年4月8日に東京で運用報告会が行われました。運用の途中経過をご報告することにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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変化をキーワードに運用される

敏腕ファンドマネージャーが運用するコモンズ投信の「ザ・2020ビジョン(2020はトゥエンティトゥエンティと読みます)」。変化を見通せる運用をしたいとのコンセプトで、2013年12月27日に設定が行われました。

その特徴を改めて述べると
1.変化し始めた企業、変化にチャレンジする企業を中心に株価が割安と判断した企業に投資が行われ、5~10年という中期的な視点で変化を捉えていく。

2.大型株から小型株までを投資対象とし、50銘柄程度に厳選して投資が行われます。銘柄選択はボトムアップ・アプローチを重視し、ベンチマークは設けられていません。

3.絶対収益を意識した運用を行うため、市場の下落リスクなどに基づき、株式組入比率を上げて積極的に狙うタイミングと、現金等の比率を上げてリスク回避するタイミングをコントロールすることを目指しています。株式への投資は、信託財産の50%超(100%~30%の範囲内)を基本としています。

投資対象銘柄は、定量評価であるPER、PBR、配当などに加え、収益力の変化と持続性などのROEに着目。定性評価である経営方針。経営者の交代などのマネジメントの変化、業界再編、競争力などの外部環境の大きな変化。時代の潮流、生活者の視点、わくわく感や共感などを合わせて投資対象を絞りこんでいきます。

日経平均株価などを上回る成績

ベンチマークは設けられていないものの、設定来から2014年4月7日までのパフォーマンスは日経平均株価を上回っています。指数の騰落率は、日経平均株価が-8.47%、TOPIX(東証株価指数)が-7.23%、NYダウが-1.41%となっていますが、ザ・2020ビジョンは-0.18%です。コモンズ頭身が運用する「コモンズ30ファンド(分配金込み)」の-2.0%も凌駕しています。

絶対収益志向であることから、マイナスのパフォーマンスはファンドマネージャーの糸島氏はやや納得がいかない様子でしたが、良好な船出をしたと言えるでしょう。また、リスク回避するタイミングをコントロールすることを目指すとう、下落局面に強い片鱗が少し垣間見えた気もします。

2014年に入ってからのポートフォリオの株式等の組み入れ比率は、2月は85.9%と1月の96%から約1割下げリスク回避に動いたものの、3月は97.6%と逆に1割強も配分を増やしリスクを取った積極的な運用に変化しています。(いずれも月末値)組み入れ銘柄数は50銘柄前後とほとんど変化はありません。

2014年3月末現在の市場別構成比は、東証1部が71.4%、東証マザーズが13.5%、東証2部が4.1%、JASDAQが1.5%に加え、REIT(東証)が9.5%も入っています。日本株ファンドにREITが入っているケースは非常に珍しいのですが、インカムゲインに着目して組み入れているようです。ただし、REITにはザ・2020ビジョンのテーマである「変化」が期待しにくいことから、いずれかの時点で変化が期待できる企業に乗り換えていくようです。

2014年2月末の組み入れ上位5銘柄は、ALSOK3.7%、日本アコモデーション投資法人3.46%、オリンパス3.29%、ペプチドリーム3.24%、パソナ3.09%となっています。50銘柄が組み入れの基準なので、仮に均等投資をすれば1銘柄当たりの組み入れ比率は2.0%。2.0%よりも組み入れ比率が高い銘柄は、より強気に見ている銘柄と考えているようです。

純資産総額は2014年3月末現在で6億2100万円。直販だけの販売なので少なめなのは致し方ありませんが、3ヵ月で6億円強は運用成績とともに好スタートの範疇に入る気がしてなりません。

設定3ヵ月はリスクコントロールがうまくはまり期待に応えましたが、ザ・2020ビジョンは運用という長い航海のスタートを切ったばかり。上昇、下落といった市場の荒波をどうこなしていくのか興味津々です。今後も運用経過を報告していきたいと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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