子供の英語教育/子供のための英語

どう変わる?小学生の英語教育事情

文部科学省の平成25年11月13日の発表で、日本のこれからの英語教育についての方針が出ました。それをうけて、小学校から大学までの英語教育の内容の大きな見直し、方針、新しいプロジェクトが出ています。紹介する日経のムック本「デュケレ」では、これからの「小学生の英語教育」を特集しています。とくに小学生をもつ保護者の方々に読んでおいてもらうとよい一冊だと思います。

清水 万里子

執筆者:清水 万里子

子供英語ガイド

日本の英語教育が変わる!

平成25年(2013年)は日本の英語教育の大きな転換期となりました。学校教育における「英語教育」の方針が具体的に出されたのです。どんな風に変わるのか簡単に言いますと、小学校、中学校、高等学校、大学と、すべての英語教育において時間、方法、目標まで事細かい内容が示されるようになったのです。この記事ではその中でも小学校の英語教育事情について取り上げたいと思います。

小学校では「外国語活動」から「英語教育」へ

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子ども自身もこれからは英語は大切だと認識しています。

公立小学校で英語が教えられるようになったのは、2002年4月からです。この年には学習指導要領の改訂がありました。当時は国際理解教育の一環としての英語でした。

それからすでに12年経っていますが、小学校における英語教育は、私が知っている呼び方でもいろいろ変わってきています。「国際理解教育の一環の英語教育→英語活動→外国語活動→英語教育」です。

2020年に小学校高学年の英語が教科になる予定ですから、そのときの呼ばれ方は中学校の名前にならって小学校における外国語教育(英語)になるかもしれません。

名前の変遷からもわかるように小学校における英語教育については、指導現場の様子を見ながら思考錯誤の状態で、少しずつ実践を重ねて、その成果をみながら進められています。「外国語活動」と呼ばれる学習の領域では、英語力そのものの評価はしなくても良かったのですが、教科の「外国語教育」となると、子どもの英語力を評価しなければなりません。「英語に慣れ親しめば良い」から、「英語力を着実に付けていく」というスタンスに変わっていきます。

日経ムック本「デュケレ」の特集「小学生の英語事情」では?

日経ムック「デュケレ」(平成26年3月18日発売)では「小学生の英語事情」について特集しています。この特集号では私も専門家の一人として掲載内容に関わっています。特集は3種類のカテゴリに分かれています。
  • パート1「小中学校~大学入試 企業が求める英語」
  • パート2「進路を検討し、学習法を賢く選択」
  • パート3「英語学習法 AtoZ」
英語教育改革を進めるときに、小学校の英語教育に注目が集まり、その是非がまたここにきて再燃しています。デュケレにはパート3に私が書いた「子どもの英語教育の発達段階別表」がありますのでご覧ください。

以下は、昨年12月、文科省より出された小学校の英語教育に関する内容の概要です。

公立小学校の英語教育はどうなる?
  • 小学校高学年児童の英語は「教科」扱いにして週3時間
  • 小学校中学年児童の英語は「活動」扱いにして週1~2時間
  • 教材については開発、研修する
ここに小学校の英語教育について書くと長くなってしまいますから、ざっとポイントだけお話しますと、高学年児童に関しては、「教科」になると正しく「評価」しなくてはならないため、英語言語そのものの成果をはかるテストが必要になるでしょう。子どもの英語をはかるテストはいくつかありますが、テストに合格するための英語教育にならないか心配なところです。

中学年児童に関しては、これまでのように「活動」です。これだと言語そのものは評価はしなくてもいいので、英語でコミュニケーションする際の個人のコミュニケーション能力の育成のみに焦点をしぼっておけば問題ないでしょう。

またこのような特集が組まれるたびに、よく話題にされるのは、日本の英語教育はダメだとか、中学校、高校で6年間、さらに大学で4年間学んでも英語が話せないのはなぜか、など日本の英語教育はさぞかしダメで、学校の英語教育なんてちっとも役に立たないと言われます。

私はこのような論議が起きるたびに思うのですが、4技能のうちの「話せない」に偏りすぎの意見が多いような気がしています。ですから、まったくダメなのではなく、一部の改善で良くなっていくのではと思っています。たとえば、Speaking能力の育成ができるカリキュラム編成、学習時間数の増加など、発達段階別に改善策が出て来ることを期待しています。

また、大学入試が変わらない限り何をやってもダメだという意見もあります。昨年出された大学入試改革計画に、センター入試をやめたりする案が出ているので、英語教育にも少し影響があるかもしれません。

民間の英語教室ではどうなる?

今や、子どもの習い事のトップ3にはいる「英語」です。英語教室、英語塾、学習塾など、生徒獲得競争も激しく、たんだん淘汰されてきています。今、生き残っていける民間の教室の特徴は、とにかく確実に英語力が育つ環境を提供している教室です。面白い事に、親は子どもにプレッシャーを与えたくないため、英語に慣れ親しむ程度でいいという希望が半分、あとの半分は、高い月謝を払っているのだから英語力をつけさせたい、という親の願いです。私は後者が本音の部分かな~と思います。

この「デュケレ」で取材されている子ども英語教室はそれぞれ特徴的な英語学習をしているので、自分の子どもに合うタイプを選ぶのにいいと思います。たとえば、読書が嫌いな子どもに多読教室は向きませんし、運動好きな子には英語でおこなう体操教室などが合うでしょう。

民間の英語教室では、1歳児も通っているなど低年齢化も進んでいますね。あえて言いますが、私は3歳までは家庭で英語を楽しむ環境を作るほうをオススメ。英語教室に通い始めるタイミングは4歳からが良いと思います。

日経ムックのデュケレには、最新の子ども英語教育事情が載っています。とくに小学生をもつ保護者の方々に読んでおいてもらうとよい一冊だと思います。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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