方向性が決まったら、すばやく製作開始!!
あーでもない、こーでもないとやっていると、なかなか前に進まないので、一度決めたら即、作り始めます。すでに切ってある材料をくっつけるだけなのでIKEAなどの組み立て家具と同じです(デザインのクオリティは大きく違いますが……)。板を床においてその上に脚を接着します。今回も、私のお気に入りの水で発泡するして膨張するウレタン接着剤「ゴリラグルー」を使うことにします。アメリカみやげにもらったゴリラグルー、国内でもだんだん人気がでてきて一部のホームセンターやネットでも取り扱いが増えてきたようです。これがお気に入りのボンド「ゴリラグルー」。裏面に60分で固まり3倍に膨れ上がるというイラストが描かれています。塗る面を塗る手間はかかりますが速く頑丈に固まります。もちろん、日本製の超強力接着剤でも構いません。
左は木材を布巾で濡らしたあとゴリラグルーを塗布したところ。少し塗りすぎです……、この後、発泡した泡が吹き出してきました。右は接着剤を塗った後に脚を載せたところです。さらに端材の合板を載せて重しに雑誌をたくさん置いて1時間、放置します。
テーマは建築構造用の木質材料を使うこと
今回は板材に針葉樹の構造用合板を使いましたが、もう一つ迷った材料がありました。それはOSBと呼ばれるものです。OSBも北米でよく使われる建築構造用パネルので、小さな薄い木片をプレスしたもの。ランダムな表情がおもしろくて、1980年代に倉俣史朗さんが椅子の座面に染色して使っていて「かっこいいなー」と思った記憶があります。OSBも1枚50円で入手したので使おうと思ったのですが悩んだ挙句、合板の断面の積層模様がバームクーヘンみたいでよかったことと、意外と針葉樹の構造用合板の木目がきれいだったので、こちらを使うことにしました。OSBは好きな素材なので、これでいつか何かを作りたいと思っています。脚も座も建築構造材料を、そのまま使うことを今回のテーマとしました。それは、私は「家具は小さな建築」と考えているからです。現在、もし「名作家具100選」といったチョイスを行うとすれば、工業デザイナーのものではなくて建築家のデザインによるものが多く選出されることでしょう。家具は建築の内部空間(インテリア)を演出するものであって建築と密接な関係があると思うのです。実際、かつての建築家たちは自分で設計した建築作品のために家具を設計していました。それが今、名作として商品化されています。私の場合は工業デザイナーでも建築家でもない、趣味の日曜大工なのでおこがましい話ですが……。
そんなことを考えたりカップラーメンを食べたりメールチェックなどをしている間に、1時間ゴリラグルーは、がんばって仕事を続けて、カッチカチに座と脚をくっつけてくれました。ゴリラグルーはダボや継ぎ手・仕口、ビスケットなどの連結構造と同じように両方の材料の内部に浸透して強固にジョイントしてくれています。この状態でサイドテーブルとして使うなら十分という感じ。アメリカ人なら躊躇なくこの上に座ることでしょう。でも日本人の私はなんとなく不安です……。さらにネジで留めてその上に、またゴリラグルーを塗って、もう一枚合板を張り合わせて頑丈にしています。