行政書士試験/行政書士のキャリア・開業

資格取得後の独立体験記 第23回「後進指導の道」

受講生の合格者には開業する人も出てきました。しかし、行政書士を募集している事務所はほとんどありません。合格者は下積みをする機会を与えられず、開業するしかありません。このような体制のためでしょうか、合格者達から開業の相談を多く受けるようになっていきます。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド

はじめに

受講生の合格者には開業する人も出てきました。しかし、行政書士を募集している事務所はほとんどありません。合格者は下積みをする機会を与えられず、開業するしかありません。このような体制のためでしょうか、合格者達から開業の相談を多く受けるようになっていきます。後進の指導ができるほどの経験はないのですが、反面教師としてでも力になれればと思い、開業のレクチャーをすることになっていきました。

自分の開業から伝えられること、「バランスの大切さ」

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士業には厳しい時代ですが、受講生開業者の成功を願ってやみません。

合格者の受講生時代の勉強する姿が思い浮かびます。一年間、人によっては数年間、私のもとで勉強に励んでくれました。その姿を知っているので、開業する以上、成功してもらいたいと心から思います。

そんな合格者達に何を伝えればいいのか。思い悩みましたが、自分の経験を振りかえるのが一番だと思いました。業務選択、営業と集客、実務能力の習得、報酬の設定など次から次へと自分が苦しんだテーマが思い浮かびます。

ただ、私のように慎重さを重視しすぎると物事が前に進みません。逆に、豪胆さは物事を進めていくのが早いのですが、それが蛮勇だと身を滅ぼします。そう言った同業者も目にしてきました。やはり、ほどよくバランスをとることが大切だと痛感します。

私はディフェンス型の人間なので失敗しないコツを伝えられます。しかし、オフェンスはうまくありません。ですから、合格者から開業の相談をうけるときは、慎重な私を頷かせるような開業計画に出会えればといつも思っています。

業務選択は、「自分の属性を」

行政書士は数千種類の仕事があります。まず業務を選択しなければいけません。人にはそれぞれの属性があります。その属性を活かすことが大切です。

たとえば、私は運転免許を持っていないので、車関係の仕事はさっぱりです。おそらく興味がないからでしょう。「好きこそものの上手なり」というのはまさにその通りだと思います。

行政書士業務も同業者との競争です。ですから、自分の属性の中で他の行政書士と比べて優れた点を売りにしていけばいいと思います。学歴、職歴、経歴、経験、地の利、人脈など様々な要素があります。それをまずは見つけることをアドバイスしています。

ただ、自分自身の属性はわかりにくいものです。そこで、他の人と比較をすることが一番わかりやすいと思うので、私と比べて合格者が優れている点をお話するようにしています。
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