ソチ五輪フィギュアスケートの感動を再び味わうCD!
日本がメダル8個と、長野五輪以来のメダルラッシュに沸いた冬季五輪ソチ大会。「ソチロス」なんて言葉まで出ましたが、ソチ五輪の後半を盛り上げたのはフィギュアスケートでしたね。
浅田真央vsキム・ヨナ、羽生結弦vsパトリック・チャンなど、記憶に残る熱戦が繰り広げられましたが、それらを盛り上げる重要な要素になっていたのが楽曲。演技の印象、勝敗にも大きく影響を与えたかもしれない楽曲にはクラシック音楽が多く使われ、未だ感動と共に耳に残っている人も多いのではないでしょうか?
そんな方のために、ソチ五輪のフィギュアスケートで使われた曲を集めたアルバム『決定盤! フィギュアスケート・ミュージック・ベスト』がさっそく登場しました! 主な収録曲と曲の背景などを紹介しましょう。
浅田真央選手の再起を印象づけたラフマニノフ
浅田真央選手が自己最高得点となる演技で感動を与えたフリープログラムで使用したのは、開催国ロシアを代表する作曲家の一人、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(第1楽章)。哀愁漂うメロディーが濃厚に繰り広げられる親しみやすい名曲で、交響曲第1番の初演の失敗によりショックを受けたラフマニノフが、見事復活し名実共に大作曲家と認められるきっかけになった曰く付きの曲でもあります。直前のショートプログラムのまさかの転倒で苦境に立つも、翌日に気持ちを切り替えて最高の演技を繰り広げた浅田選手と正に繋がるものがありました。そうした背景を知りながら聴くと、名演技が思い出され、また感動が深まりそうですね。現在若手で人気No.1のピアニスト、ラン・ランによる安定感のある演奏が収められています。
浅田選手の可憐さを際立たせた「ショパンのノクターン」
そして、その感動を生むための序章だったとも言える、転倒に涙を飲んだショートプログラムで使われたのが"ピアノの詩人"ショパンの「ノクターン 第2番」。ハッとするような甘美な旋律はどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。CDに収められたのは、実際に演技に使用された、マリア・ジョアン・ピリスによる透明感と詩情に満ちた演奏です。キム・ヨナ選手による別れのタンゴ
対するキム・ヨナ選手がフリーで使ったのが、タンゴを芸術の域に高めた20世紀の大作曲家アストル・ピアソラによる代表作「アディオス・ノニーノ」。タンゴにノスタルジックで切ないメロディーを乗せた名曲です。亡き父への思い・感謝が込められた曲でもあり、今回で引退を決めていたというキム・ヨナ選手からファンへの別れと感謝の表明のようにも感じられました。羽生結弦選手のロック・クラシック
今大会のスター羽生選手で印象的だったのは、圧倒的な演技で新王者誕生を感じさせたショートプログラム。ゲイリー・ムーアによる泣きのギターが冴える『パリの散歩道』という、一瞬ミスマッチのようにも感じる選曲がまた強烈な印象を与えていましたね。ということでこちらのロック・クラシックも収録(ヴォーカル付きのオリジナル版)。フリーで使用したニーノ・ロータによる『ロミオとジュリエット』も収められています。ベストマッチだった町田樹選手の『火の鳥』
僕が個人的にベストマッチな金メダル選曲!と思ったのが町田樹選手がフリーで使用した、こちらもロシアを代表する作曲家ストラヴィンスキーの『火の鳥』です。今から100年前にパリで衝撃を与えたバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)初期の名作で、強烈なダイナミクス、不協和音の迫力ある音楽と、色彩感あふれるオーケストレーションが鮮烈。開会式の聖火台への点灯の際にも使われていましたね。まさに火の鳥のような衣装での、手に汗握るような演技でした。他にも各選手がエキシビションで使用した音楽なども収録。ただ聴き流しているだけでも数々の演技が思い出され、とっても楽しい1枚です。
収録曲
1. パリの散歩道 / ゲイリー・ムーア2. 組曲『白鳥の湖』情景(チャイコフスキー) / デュトワ指揮モントリオール交響楽団
3. ロミオとジュリエット 愛のテーマ / イングマン指揮プラハ・フィルハーモニア
4. ノクターン 第2番(ショパン) / マリア・ジョアン・ピリス(ピアノ)
5. ピアノ協奏曲 第2番 第1楽章(ラフマニノフ) / ラン・ラン(ピアノ)、ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団
6. アディオス・ノニーノ(ピアソラ) / ダニエル・ビネッリ(バンドネオン)、デュトワ指揮モントリオール交響楽団
7. イエスタディ/ イェラン・セルシェル(ギター)、ロンディン指揮エーテボリ交響楽団員
8. イマジン / ベンチャーズ
9. オブリビオン(ピアソラ) / ダニエル・ビネッリ(バンドネオン)/ルイーズ・ペレリン(オーボエ)、デュトワ指揮モントリオール交響楽団
10. 『シンドラーのリスト』 テーマ / ロビー・ラカトシュ&ヒズ・アンサンブル
11. TBS系ドラマ『白夜行』オリジナル・サウンドトラック 白夜を行く(河野 伸) / 河野 伸(ピアノ&キーボード)/弦一徹ストリングスほか
12. ヴァイオリン協奏曲『四季』第4番『冬』第1楽章(ヴィヴァルディ) / サイモン・スタンデイジ(バロック・ヴァイオリン)、指揮、チェンバロ&オルガン:トレヴァー・ピノック、イングリッシュ・コンソート
13. バレエ組曲『火の鳥』カスチェイ王の魔の踊り(ストラヴィンスキー) / アバド指揮ロンドン交響楽団
14. 愛の讃歌 / 寺井尚子(ヴァイオリン)、北島直樹(ピアノ、シンセサイザー)/細野義彦(ギター)/ジャンボ小野(ベース)/中沢剛(ドラムス、パーカッション)
15. スマイル/この素晴らしき世界 / IMA
16. ボレロ Passion on Ice (edit version)(ラヴェル/編曲:澤野弘之)(フジテレビ系フィギュアスケート番組オープニング曲) / 岡本知高(ソプラニスタ)