相続した土地を売ると、所得税が安くなる!?
相続税と譲渡税の二重の増税に?
しかしながら、平成27年からはこの特例が縮小されてしまいます。この特例の仕組みと特例縮小の影響について確認しておきましょう。
取得費加算の特例とは
相続財産を譲渡した(売った)場合の取得費の特例、いわゆる「取得費加算の特例」は、支払った相続税のうち一定金額を取得費に加算ができる特例で、以下の要件を満たす場合に適用されます。- 相続や遺贈により財産を取得した人であること
- その財産を取得した人に相続税が課税されていること
- その財産を、相続税の申告期限から3年以内に譲渡していること
取得費に加算できる金額の計算方法
取得費が多くなれば利益金額は小さくなり、その分の所得税が少なくなります。計算方法は以下の通りですが、土地と土地以外とでは計算方法が違います(財産の金額は相続税評価額によります。また、計算は個人ごとに行います)。【 相続税×譲渡した財産÷取得した財産(債務控除前) 】
なお土地を譲渡した場合は、「譲渡した財産」の部分は、「取得した全ての土地」とすることができますので、譲渡していない土地(物納は含まれません)の相続税分まで加算ができます。
取得費加算を適用する場合の注意点
この取得費加算の特例を適用する場合は、以下4つの注意点があります。(1)分母となる「取得した財産」は、債務控除前の金額になります。
(2)そもそも譲渡した財産に利益がないと適用はありません。例えば不動産全体としては利益が出ていても、土地は利益、建物は損であった場合は、取得費に加算できるのは土地のみです。
(3)この特例を受ける旨の確定申告をする必要があります。
(4)平成27年1月1日以後に開始する相続からは、「取得した全ての土地」の優遇がなくなります。
次のページでは、取得費加算の計算例と、平成27年以降の影響額を見てみましょう>>