建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

内と外に流れる2つの時間[時の流れる家](5ページ目)

都市住宅の「狭小敷地」「多様な住まい方」「更新する街並」「人工的な温熱環境」という4つの特徴への応えとして設計された建築家の自邸です。この住宅には、気象条件により外観の表情が変化し、内部の住人の居場所が住まい手の構成により変わるという、2つの時間が流れています。

執筆者:川畑 博哉

エキスパンドメタルに囲われた半透明の庭

 

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中庭
1. 奥の庭から2階を見上げる。下はバスルーム、上はリビングのガラス引戸。右は親の個室の窓。
中庭
2. リビングから奥の庭を見下ろす。ヤマボウシが植えられ、鍛金による彫刻作品が置かれている。
中庭
3. 庭のエキスパンドメタルは2枚張りで、鉄骨を挟んで縦目と横目に張っている。


南からの日射しを呼び込む奥の庭は、正面と同じく2階まで立ち上がったエキスパンドメタルの透ける壁で囲われています。外側は縦、内側は横と目を変えて張り、外からの視線を柔らかく遮ることで、住人のプライバシーを守っています。外側は錆止めをしていないので変色しますが、内側はペイントにより白色が保たれます。ここにも時の流れを見ることができます。
この家には、断熱の効いた個室、自由に開閉できる土間とリビング、そして外部空間としての庭という3種類の環境が共存しています。住む人は気分によって自由に居場所を探ながら日常生活を楽しむことができるのです。また、将来的に住み手が増えたり減ったりしても、内部空間の使い方を変えることよってフレキシブルに対応しながら住み続けられる。それが「時の流れる家」の意味するところなのです。
◆建築データと建築家プロフィール


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