慢性痛とは

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膝が痛いなら、まずは膝の筋力を高める身近な運動設定から始めます

3ヶ月以上続く痛みを、慢性痛といいます。腰痛、頭痛、ひざの痛み、肩こり、坐骨神経痛など、痛みの原因は問いません。「長引くしつこい痛み」そのものによって活動量が減り、抑うつ傾向、気力をうばわれる、休職や失業、さらには家庭崩壊に至るまで人生の質を低下させる病気、それが慢性痛です。

慢性痛を悪化させる要因には、加齢、不慮の事故、体質、遺伝、家庭問題、社会的環境因子など、自分の力ではどうしようもない問題もあります。

慢性痛の緩和法・即効性の高い治療法はないの?

そして残念なことですが、ほとんどの慢性痛に対して魔法のように一撃で治す治療方法はありません。治療を行うことで痛みを和らげることはできても、慢性痛を引き起こす前の状態に完璧に戻すことは難しいものです。ですから、慢性痛に悩む人々が自分の人生を取り戻し、自分らしく生きていくためには、それを受け入れ、もう一度、自分の人生を生きていくきっかけが必要です。

今回は、慢性痛を克服する第一歩としてゴールデンゴールを設定する重要性についてお話します。

慢性痛の人の間違った生活習慣

腰痛、頭痛、ひざや首の痛みが長引くと、通常、人々の生活スタイルに変化が起こります。以下に、痛みを抱えた人が陥りやすい間違った生活活動の低下を示します。もしあなたが今、痛みを抱えてお悩みならば、いくつ当てはまるかチェックしてみてください。
  • 仕事を途中で投げ出し、限られた仕事しかしなくなる
  • 家事など、わずらわしい作業をしなくなる
  • 体が動くときに作業を詰め込み、後で休まなければならなくなる
  • 楽しいこと、ウキウキしていた活動もしなくなる
  • 新しい行動を避けるようになる
  • 休みの日には家に閉じこもり、横になったり休んでばかりいる
  • 痛み止め、抗不安薬などを適量以上に服用してしまう
  • 過度の飲酒、タバコを吸うようになる
  • 家族や友人に怒鳴ったり、言い争うことが増える
  • 社会活動や外出回数が減った
いかがでしょうか? 5つ以上当てはまるようなら、長引く慢性痛によって生活の質が低下し、痛みの悪循環スパイラルに陥っている可能性があります。

痛みの悪循環スパイラルを立場を変えて考える

確かに痛みを抱える身はつらいもので、仕事も痛みのない状態よりもきつく、愚痴もこぼしたくなるでしょう。休める日には横になっていたいのが人情ですし、つい手軽な飲酒やタバコに逃げ込みたい気持ちもわかります。ペインクリニックには痛みが原因で社会的に追い込まれ、人生まで窮地に陥った人も多く来院されます。

しかし、痛みにあなたの人生までうばわれてしまっていいのでしょうか? 痛みによって社会的な死をむかえ、余生を生きることが本望だといえる人がいるでしょうか? 痛みにとらわれていると、見えにくくなることもあります。困難な状況になる前に、先ほどの痛みの悪循環スパイラルについて、痛みを抱えた人の周囲にいらっしゃる人の立場に変えて再考してみましょう。

・仕事を途中で投げ出し、限られた仕事しかしなくなる
→ 職場での信頼を失い、給与の低下や失職の原因となる

・家事など、わずらわしい作業をしなくなる
→ 離婚や家庭崩壊の引き金になる

・体が動くときに作業を詰め込み、後で休まなければならなくなる
→ 本人は一所懸命がんばった結果だが、休んだことによって会社や社会的評価は悪化する

・楽しいこと、ウキウキしていた活動もしなくなる
→ 心の潤いがうばわれ、抑うつ傾向や社会性の喪失につながる

・新しい行動を避けるようになる
→ 脳への刺激が減り、認知機能の低下が起こる

・休みの日には家に閉じこもり、横になったり休んでばかりいる
→ 安静にすることで一日8gのたんぱく質を失い、心肺機能は一日1%の法則で低下する

・痛み止め、抗不安薬などを適量以上に服用してしまう
肝臓、腎臓の負担が増え、将来的な機能障害の可能性がある

・過度の飲酒、タバコを吸うようになる
→ 肝臓や肺機能低下など、新たな病気を抱え込み新たなストレスを生む可能性がある

・家族や友人に怒鳴ったり、言い争うことが増える
→ 一番身近なサポーターを失い、生活の質をさらに悪化させる可能性がある

・社会活動や外出回数が減った
→ 社会生活の低下は、運動量の低下から身体能力や生きる力を低下させる

立場を変えることは現実的には難しいのですが、客観性を失っては痛みを見直すきっかけ作りがさらに難しくなります。また、痛みで悩みが深くなるほど思考の視野が狭まり、怒りっぽくなってしまいます。一度、痛みで悩む自分の姿を、鳥が大地を見渡すように広い視野を持って見てみることも必要です。痛みにとらわれた人生からあなたを解放するには、まず、痛みに陥っている自分の生活を客観的に認識してみましょう。

慢性痛克服のために! ゴールデンゴールを設定しよう

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東京の娘さんと初孫のお世話をする。自分なりのゴールデンゴールの設定から始めましょう

痛みについて客観性を持って見つめ直せたら、次に自分だけのゴールデンゴールを設定しましょう。人にはそれぞれ、慢性痛を抱えてもなおやり遂げたいこと、これだけはやってみたいことがあります。それをゴールデンゴールと呼びます。慢性痛があっても自分らしく生きるためには、まず、やりたいことの優先順位を決め、書き出して、ゴールデンゴールを決めましょう。慢性痛の重症度やその人の社会環境がそれぞれ異なるので、やりたいこともそれぞれ違っていいのです。本当に自分でやりたいことをリスト化してみましょう。

ゴールデンゴールの設定ポイントは、現在の自分の活動レベルから20%下げたところから開始することです。十分やり遂げることができる小さなゴールを積み重ねることで成功体験を積み、徐々にできる活動量を増やしています。「人が聞いたら、そんなつまらないこと……と思われるんじゃないか」なんて心配する必要はありません。ゴールデンゴールは、人と比べるものではないからです。

ゴールデンゴールを成功に導くためには

当院の患者さんには、「東京に住む娘さんが始めての出産をむかえることになった。1ヶ月でも、娘さんとその赤ちゃんのお世話がしたい」というゴールデンゴールを立てた方がいらっしゃいます。お元気な人にとっては、たわいのない目標設定かもしれません。しかし、長年、慢性腰痛に悩むその方にとっては、目標設定当初はとても高いハードルに思えました。

最初は、地元のスーパーに買い物に行く訓練から始めました。見知らぬ土地で買い物をして家事をするだけでも、腰痛を抱えた方にとっては結構なストレスです。まずは東京に行く前に日常生活がしっかり送れる体力づくりが大切と考え、生活の一部であるスーパーの買い物から訓練を始めました。それと並行して、歩く距離と時間も徐々に増やしていきました。腰痛があっても運動量や活動時間を延ばす工夫をつみ重ね、やがて東京に行けるかな、という自信も生まれてきました。

慢性痛を克服する第一歩

たとえ腰痛があっても自分が本当にやりたい目標があり、低いハードルの設定からはじめれば、無理なく目標をクリアしていけます。そして最後に、自分なりのゴールデンゴールに導ければいいのです。

慢性痛を克服するには、いきなり1か0かで効果を判定しないことが重要です。自分の痛みの現状を客観的に認識し、次に自分の体力と症状にあった目標を設定し、ひとつひとつ乗り越えていくことが慢性痛を克服する第一歩です。

痛みにとらわれた自分の人生を開放するために、自分だけのゴールデンゴールを設定してみませんか?

参考文献:気力をうばう「体の痛み」がスーッと消える本 富永喜代

 



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