子供に手を挙げる理由や心理……なぜ叩いてしまうのか?
かけがえのない命、ひとりひとりが大切に育もう
連日の虐待のニュース。それを目にするたびに本当に胸が痛みます。虐待のように表沙汰にはならなくとも、いまだに叩くことはしつけの一環と思っている人が多いのも事実。
そもそも、なぜ、子供を叩くという行為に至ってしまうのでしょうか?最近のアメリカの研究で、子供を叩くという行為は、親のある信念が引き金になっていることが分かりました。その信念とは、
- 叩くことは効果的なしつけの1つだ
- 叩くことで子供は学ぶ
- 叩くことで子供はいい行動をするようになる
「なぜ叩くのか?」という理由を問われると、なんとなく、
- 親の怒りのレベルがマックスに達したから
- 子供がした行為が非常に悪いものだったから
- 子供の行為の意図が親にとって許せないものだったから
それでもつい手が出てしまいそうになったら
この研究のそもそもの目的は、叩くことを前向きに捉えている親に、「子供を叩くことがどれだけ子供に悪影響か」という自分の信念とは逆の調査データを読んでもらったら、どれだけオリジナルの信念を変えることができるか、というものでした。つまり、証拠を見せて、改善を図ろうと試みたのです。263名の親を対象としたその調査を前に、研究者達はこう考えました。調査データを読んだだけでは、信念を変えるのは難しいのでないかと。なぜなら、すでに親として子供を育ててきた経験や周りから得た思いこみがそれを阻むと考えたからです。
しかし、実際には、46.7%の親が態度を改め、「叩くことは許しがたいこと」と感じるようになったのです。
同じ実験を学生に行ったところ、74.6%が考えを改めた、という結果を見ると、46.7%というのは低く思えるかもしれません。でも、彼らが読んだのは、叩くことが子供に与える影響について簡潔にまとめたウェブ上の情報だけだったことを考えれば、今後の虐待対策として活用しやすい方法といえるのではないでしょうか。(ちなみに、その情報とは、叩くことの短期的、長期的な悪影響についてで、主には、攻撃的な行動、非行のリスク、将来的に自分も虐待を繰り返すリスクの増加、親子関係の質の低下など)
ママだからこそ学ぶ機会を
育児支援をしている1人として、やはり、母親学級や育児教室などでママが学ぶというのはとても大切だと感じています。最近、ママ向けの講座も増えてはいますが、それらを活用しているのはまだまだごく一部のママに限られているようです。ご近所でママが学ぶ場所があれば、ぜひ参加してみてください。その際は、内容のしっかりとしたタイプのものがおすすめです。今回のデータが示しているように、信頼できる研究結果であれば、読むだけ効果があるからです。
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■関連情報: 子育てに役立つ最新心理学
*出典:Child Abuse and Neglect (2013) 「Research findings can change attitudes about corporal punishment」より
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