住宅購入の費用・税金/住宅ローンのしくみと選び方

住宅ローンの選び方に”損得”はない(3ページ目)

新規で住宅ローンを借りる人はもちろん、借換えのを考えている人も、住宅ローンを選ぶときに”損得”を基準に検討する人が多いのが実態です。しかし、住宅ローンを”損得”で選ぶとこは不可能といえます。”損得”でない住宅ローンの選び方について解説します。

村元 正明

執筆者:村元 正明

住宅にまつわるお金ガイド


住宅ローンのストレステストとは

住宅ローンの選び方で損得を基準にしない家計のストレステストをもとにした具体的な事例をもとにした比較検討について解説します。

【住宅ローンの条件】
借入金額3000万円、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし
変動金利 借入当初の借入金利 0.875%
10年固定金利 借入当初の借入金利 1.4%

住宅ローン借入後の借入金利の上昇の時期や借入金利が何%上昇するかは予想できませんが、次のような前提でシミュレーションを行ってみます。

【変動金利のストレステスト】
借入から2年後毎年1%上昇(合計で2%上昇)して最終的に2.875%となった想定。
なお、借入金利については半年に一度見直し、返済額については5年に1度見直し、見直し後の返済額が借入金利上昇によりこれまでの返済額よりも増加した場合はこれまでの返済額の1.25倍が上限とします。
・返済額の増加額のシミュレーション
借入当初5年間:8.3万円
借入後6年目:10.4万円 毎月返済額が2.1万円増加、年間で25.2万円増加
借入後11年目:11.8万円 毎月返済額が借入時より3.5万円増加、年間で42.0万円増加

【10年固定金利のストレステスト】
借入から10年経過後、借入金利見直し時に借入金利が2%上昇して3.4%となったと想定
・返済額の増加額のシミュレーション
借入当初10年間:9.0万円
11年目以降:11.3万円 毎月返済額が2.3万円増加、年間で27.6万円増加

ここで、確認するポイントは増加する返済額を具体的にみた場合、家計が耐えられるかどうかの確認が必要ということになります。

もしかしたら、借入金利は借入時の借入金利のままかもしれませんが、万が一借入金利が上昇して返済額が借入当初の金額より増えた場合、住宅ローンを返済できる余力があるかどうか、今後の家計収入や教育資金などの家計の支出を考えて検討する必要があります。

住宅ローンの選び方については、変動金利や一定期間固定金利を選択する場合は損得で比較できないので、家計のストレステストを行い、“安心安全に返済できるかどうかを基準”にして選択するようにしましょう。
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