住宅ローンの具体的な損得を確認
【変動金利の場合】・毎月返済額
借入当初5年間は8.3万円で確定しますが、借入から6年目以降は借入金利が不明なため、毎月返済額も不明となります。
・支払利息額
借入金利は半年毎に見直しされるので、借入してから半年間の借入金利は0.875%となり、当初半年間の支払利息額の合計は約13万円で確定しますが、借入から半年経過した以降の支払利息額は借入金利が確定していないので不明となります。
【10年固定金利(一定期間固定金利)の場合】
・毎月返済額
借入当初10年間は9.0万円で確定しますが、借入から11年目以降は借入金利が不明なため、毎月返済額も不明となります。
・支払利息額
借入当初10年間は借入金利が1.4%で確定しているので、借入当初10年間の支払利息の合計額は約372万円で確定しますが、11年目以降の借入金利が不明なので、それ以降の支払利息の合計額は不明となります。
【全期間固定金利の場合】
・毎月返済額
完済するまで10.4万円で確定します。
・支払利息額
完済するまで借入金利が2.3%で確定しているので、支払利息の合計額は約1371万円で確定します。
【具体例のまとめ】
具体例をみればわかるように、変動金利や10年固定などの一定期間固定金利を選択した場合、借入時に支払利息額の合計は不明となるので、総支払額をもとにした損得の比較をすることは残念ながら不可能ということです。
唯一、借入時に総支払額で比較をできるのは、全期間固定金利での借入のみとなります。
いいかえると、全期間固定金利同士を比較するときだけ、総支払額をもとに損得の比較が可能ということになります。
住宅ローンの返済シミュレーションの借入金利が変動金利や一定期間固定金利にも関わらず、総支払額で比較を行い、“変動金利が得をする”などの説明を受けている人がいますが、このような説明は間違っているということになるので注意してください。
それでは、損得の基準以外に住宅ローンを選択する基準は別にあるのでしょうか?
それは、今後の家計を考えたうえで、安心安全に住宅ローンを返済できるかどうかという基準です。
具体的には、変動金利や一定期間固定金利を選択した場合、借入金利の上昇を想定して、家計が破綻しないかどうかの返済シミュレーションを行う、すなわち借入金利上昇を想定した家計のストレステストを行うことが住宅ローンを選択する基準になります。
次のページで具体的なストレステストの事例を紹介します。