注目される日本の伝統工芸品
さてTrendsの展示は「Serene Nature」や「Striking Mind」と続きますが、そろそろ他の展示も見てみましょう。Ambienteにはローゼンタールをはじめ有名食器メーカーが勢揃いしますが、中でも注目を集めていたのは、リーデルの新作コカコーラ専用グラス。各種ワインの長所を引き出す専用グラスがリーデルの持ち味ですが、コカコーラもより美味しく飲めるのでしょうか?
ワイングラスで知られるリーデルの新作はコカコーラ専用グラス。
パートナーカントリーとしてフィーチャーされた日本からは、
橋本夕紀夫さんのデザインによる特別展示が出展されました。今年は日本からも100社以上の出展があり、その中からディレクションされた製品を展示しています。新潟からは刃物の加工、京都からは清水焼の絵付けなど、伝統技術をもつ職人たちの実演や、各種ワークショップも開催され、沢山の来場者で賑わいました。
橋本夕紀夫さんデザインの特別展示「Super Ennichi」。日本からやってきたグッズに興味津々。
ワークショップを見物する橋本夕紀夫さん。伝統工芸のもつ面白さをひきだしたかったとのこと。
展示テーマとなった「Super Ennichi」には、伝統技術のもつ楽しさを伝えたいという橋本さんの願いが込められているそうです。橋本さんは他に「Japan Style」のブースデザインも手がけていました。長屋のように仕立てられたブースには、
TIME & STYLEや
YOnoBI、
かまわぬ、
能作など16社が並び、日本の伝統技術を活かしながら、現代のライフスタイルにもピッタリの生活用具を提案していました。
Japan Styleの展示風景。伝統工芸の技術を活かした製品が並びます。
TIME & STYLEは、新作として山中塗りのお盆を展示していました(日本未発表)。山中(石川県)は拭き漆の産地として知られていて、透明感のある漆の肌から木地が透けて見えます。その質感にみせられたスイスのバイヤーが、初日から買い付けていったそうです。伝統工芸の価値を見いだす感性には日本も海外もなく、国境を越えて沢山の人に見てもらうことが大切と感じました。
TIME & STYLEは、山中塗りの漆器と、ガラス器、陶器をあわせて展示。
海外のブースも見てみましょう。私のお気に入りは9号館にあるエクステリア、フラワー、照明などデコレーション関連用品のフロアです。広い会場のなかでも、ここは特にラグジュアリーなブースのデザインを楽しめます。キャンドルや花瓶、造花、照明器具、クリスマス用品、エクステリア用品など様々な製品がならび、エキゾチックでホテルライクな雰囲気があります。
ゴージャスなSilkka社の造花。花も花瓶も大ぶりです。
キャンドルのカーテン飾られたEngels Kerzen社のブース。
ヨーロッパではこうしたアイテムを利用した、内と外の中間のような空間をよく見かけます。屋根付きのデッキや大きな日傘によって雨がかりの少ない半屋外空間をつくりだし、そこを思いっきり贅沢なスペースとして使っています。湿気の多い日本では難しそうですが、大型化するマンションのデッキなどは、もっと有効に使えるのではないかと思いました。
クッションのメーカーPROFLAX社のブース。外部用のクッションもあります。
ご紹介したい所はまだまだありますが、今回はこの辺で。世界中の生活用品が1個所に集まる巨大見本市(東京ビッグサイトの約4倍)には新しい発見が必ずあるはず。来年のAmbienteは、2015年2月13日~17日の開催予定です。
取材協力:
メサゴ・メッセフランクフルト