昨年に引き続き、世界最大級の消費財見本市「
Ambiente」へ行ってきました。14万4千人以上の来場者と、89カ国/地域から4,724社が参加し(同時期の冬季オリンピックより参加国が多いと主催者)、2014年2月7日(金)~11日(火)までの5日間、ドイツ・フランクフルトのメッセ会場で開催されました。ここで注目して頂きたいのが、土・日を挟んで開催されていること。ヨーロッパでは土・日休のショップが多いため、ショップオーナー、バイヤーなどの利便のために週末を開催日に繰り込んでいるのです。
ドイツ・フランクフルトのメッセ会場。冬場にもかかわらず、会期中は市内のホテルが満杯になります。
トレンドを知るため、まずは「Trends 2014」へ
まずは
2013年のレポートでご紹介した「Trends 2014」の展示会場に向かいました。Ambienteの会場はとてつもなく広いので、5日間通ってもとうてい回りきれません。まずはTrendsで全体を俯瞰してから、気に入ったメーカーのブースに行くのがおすすめです。実際にバイヤーの皆さんも新しい出会いを求めて、この企画展に来ていました。
ガレリアで開催される「Trends 2014」。マンモス見本市のインデックス的な役割を果たしています。
インテリア関連のトレンド分析で有名な、bora.herke.palmisanoデザインスタジオによって構成されたTrendsの展示は、4つのコーナーに分かれています。「Stunning Temper」のコーナーは、思いっきり色鮮やかなパワーにあふれるインテリアを提案し一番たくさんの人を集めていました。メインの配色は深いマゼンダや瑠璃色、ライムグリーンなどに加え、雑誌のカラーページをリサイクルしたベトナム製の照明器具が華やかさを際立てていました。
「Stunning Temper」のコーナー。ベトナム製の雑誌をリサイクルした照明器具が印象的。
ここで見つけたのが、カモ井加工紙のマスキングテープ「mt」。日本での大ヒットを機にヨーロッパへも輸出され、マスキングテープのある暮らしを広げているようです。小物やファブリックをおさえたり、差し色として色々な場所に使われていました。もうひとつ注目したいのは、グラデーションやストライプを使ったアイテムが増えてきたこと。こうした小物を配置することで、インテリアに新鮮な刺激を与えてくれそうです。
マスキングテープ「mt」はヨーローッパでも人気がでそうです。
ストライプやグラデーションを使ったアイテムが新鮮。
次は「Subtle Spirit」のコーナーへ。ミニマルでありながらエレガントな要素を加えることで、ヨーロッパならではのボリュームのある空間を提案していました。ここで目立ったのが日本製品です。京都の清水焼や岩手県水沢の南部鉄器、高岡の錫製品、角館の樺細工など、伝統技術を今に活かした製品と、シンプルなガラス器や陶器を上手に組み合わせていました。
「Subtle Spirit」のコーナー。
日本への注目が年々高まるなか、Trendsを担当したトレンドセッターの方々も昨年日本を訪れ「インスピレーションを沢山得た」そうです。それに加えドイツやフランスは日本茶ブームで、抹茶ファンも増えています。富裕層、インテリ層を中心に日本食やお茶文化を嗜むことが定番の楽しみになってきた昨今、インテリジェンスを感じさせる空間には、日本の茶器は欠かせない存在となっているようです。
南部鉄器や清水焼(京都・西川貞三郎商店)と洋食器のコーディネート。
色彩としては、人肌を感じさせる小豆色や深いグリーンを使い、機能や素材の異なるアイテムを結びつけています。色を切り口にアイテムを集めていくことで、国や時代を超えた品々を違和感なくコーディネートしていると感じました。
富山県高岡市「能作」の錫製品。
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海外から注目される伝統工芸品。