でも、こと本物に触れるという事に関して言えば、実際初心者がそのものに触れられる機会というのは少なくて、よほど勇気のある人なら、店舗に飛び込みで入ってあれこれ見る事もできますが、そんな勇気のある人はほとんどいないに等しいはず。
それでも、本物を知るには、やはり多くのモノを実際に見る、触れるという事が一番手っ取り早いのは誰もが分かっている事。そこで、今回はそんな初心者が本物に触れ、勉強できる場を提供してくれるとてもありがたいサロンをご紹介します。
勉強の場を提供してくれる着物サロン
場所は、六本木ヒルズからほど近い西麻布の閑静な住宅街の一角。通りに面したガラス張りのお店の中に小じんまりとした畳のスペースが見えます。お店の名前にもなっているウグイスと梅の花が飾られている
季節に合わせた毎月のテーマに添った着物や帯が揃う
ここでは、毎月テーマとなる歌を決めて、そのテーマに合った着物や帯を揃えています。ちなみにこの月のテーマは、松尾芭蕉が詠んだ有名な『鶯をたづねたづねて 阿左布まで』という歌。店内にはそれに関連する、梅や鶯柄の帯や着物が展示されています。もちろんこれらを購入することも可能です。その月のテーマに添ったものが展示される
今月のテーマによる梅の模様の帯
着物で遊んで良さを知る
「着物を買いに来るというよりも、着物を通じて遊びにきて欲しい」と、社長の岡野さんは言います。「着物は他の衣服と違うところがある。それは季節を映す衣服であるという事。そしてそれは茶道や俳句の世界のような、本来の日本人ならではの世界観でもあり、ここでは着物を通して、そういった日本文化に出逢って欲しい。会員制ではあるが初心者の方にこそ、着物本来の楽しみ方を共有して学んで欲しい」との事。例えば、このテーマでこんな着物、帯があるんだという発見。自分が着て楽しむだけでは飽きがきます。自分の姿を人に見てもらってこそ、楽しくなっていくものなのです。シンプルかつ上質な品揃え
着物の本当の楽しみ方を知ってもらうためのスペース
ここに揃えてあるものは価格ではなく、その“価値”を求めたもの。すなわち値段の高い安いではなく、作り手の思いが伝わるものという事でもあります。「着物の本当の価値を伝えていきたい。そして、そういったきっかけを作るのがここの目的である。」というコンセプトの通りに、無駄を極限まで省いた空間に、大袈裟にいってみれば芸術としての着物が並ぶ様子は、今までの呉服屋さんとは一線を画す雰囲気を漂わせています。無駄を省いた空間に着物が並ぶ
着物を着て遊ぶイベントも多数開催予定
ここではお誂えからお見立てまではもちろんの事、店内の畳のスペースには、床の間、そしてお茶を楽しむための炉が切ってあり、これを使って、月のテーマに添ったお茶会、俳句などのお教室、職人を招いての勉強会など着物好きの知的好奇心を刺激するイベントが定期的に予定されています。床の間と炉がある
初心者にこそ触れて欲しい着物の奥深さ
着物は高い。そして高ければ良いと言うイメージだけが独り歩きしている和装の世界。着物本来の楽しみというのは本当はもっと違うところにあって、私たち日本人が持つ『粋』という価値観を楽しむものであるという事をあらためて感じさせてくれる……そんな感覚をここウグイスで改めて感じました。ちょっと今までにないサロン。奥深い着物の世界の入口を、あなたものぞいてみませんか?一度経験してみると、ますます着物の世界にどっぷりと浸かる事間違いなしです。
■店舗情報
西麻布ウグイス
住所: 〒106-0031
東京都港区西麻布3丁目16番28号
le bain1階
電話:03-5786-0024
URL:http://www.azabu-uguisu.jp/
営業時間:11:00-18:00 ※予約制
定休日:不定休