オーダーメイド注文への回帰
菅野美穂さんはCM会見で「家でヨガができて、友人呼べる家をつくりたい」と。
事実、今春の大手各社の中には「オーダーメイド」を企業メッセージや商品に掲げる事例が目立ちました。創業40年を迎える三井ホームは、長年起用してきた吉永小百合さんに代わり、一次取得層と同年代とみられる女優・菅野美穂さんを新キャラクターに起用。同時に「オーダープレミアム。」というキャッチコピーを打ち出しました。
多くの建築士やインテリアコーディネーターを組織し、施主のオリジナルデザインの要望に応えてきた同社。長く2×4の王者として北米の洋風デザイン住宅を得意としてきましたが、業界全体の低価格化・規格化の流れの中で、同社も規格型商品「Vario」をリリースするなど、本来のオリジナル欧米風デザインの幅の強みが発揮されにくかったのも確かでしょう。
若いファミリーに「等身大のオーダーメイド住宅を建てよう」というメッセージか。
今回の「オーダーメイドプライド。」というキャッチコピーには、同社のデザインに対する自信と「再び完全注文の喜びを」と掲げているようにも見えます。しかも、ゴージャスな洋風注文住宅だけではなく、菅野さんを起用し「友達を招いたりヨガのできる家がほしい」とメッセージすることで、肩の張らない等身大のオーダーメイド住宅を訴求している点が注目です。
デザイナーズ住宅を身近にする新商品も
ミサワホームも、「デザインのミサワ」と言われたデザイン力に回帰し、デザインを訴求するブランド「ミサワ デザイナーズ コード」を立ち上げ、その一弾として木質系戸建住宅「インテグリティ(INTEGRITY)」を4月にリリースしました。
「デザインのミサワに回帰する」と銘打ったインテグリティ外観
同社は一次取得層向けにコスパで訴求する規格型「スマートスタイル」を2007年から展開、一方で高級層向けに「センチュリー(CENTURY)」という億単位の超高級デザイナーズ住宅ブランドを展開してきましたが、今回はデザイン力をもっと裾野広く、中高級志向の30-40代にオンリーワンのデザインをより大衆化していきたいとしています。
コンセプトは「手の届くデザイナーズ住宅」。デザイナーズといえば建築家とゼロからつくりあげるオンリーワンの家、究極のオーダーメイドというイメージがありますが、それには施主の探究心や知識収集、時間や労力、コストが多くかかりがち。これらの背景から、同社ではこれまで培ってきたデザイナーズ住宅づくりのノウハウや設計思想をベースに、作法や素材・つくりをコード化し、住まい手の時間や労力をできるだけ抑えながらも、当初思い描いたデザインを形にして手伝いをしていきたい、とも。
アベノミクスで浮上の”中高級志向”若年層を意識?
アベノミクスの恩恵を受けて経済力を高める若年層と、そうでない若年層と二分化されているとも巷では言われていますが、同社のINTEGRITYは明らかに前者の一次取得層を狙っているといえるでしょう。彼らを心底満足させる家は、世界に1邸しかないデザイナーズ住宅であり、建築家に流れる層から取り込みたいという想いがあるのかもしれません。