被写体の動きはコントロールできる
被写体の動きをコントロールして撮影できるようになると表現方法が多彩になる。そのためには露出の基礎をマスターしたい。
静物以外の被写体は、動きます。生き物はもちろんのこと、野生の植物も風の影響でなびきます。その被写体の動きをシャッターを押す度に意識しているかどうか、ここが大事なポイントです。
一瞬を写し撮る中で、撮影者がコントロールできる要素のひとつが被写体の動きです。被写体の動きはシャッタースピードによって変化させることができます。シャッタースピードとは、画像を記録させる時間のこと。シャッタースピードが短いほど被写体の速い動きを止め記録できます。反対にこの時間が長くなると被写体がブレたように写ります。
つまり被写体の動きの写り具合は意図的にコントロールできるということです。
被写体の動きから表現できることは無数にあります。例えばアスリートの瞬間の動作を写し撮った写真は、鍛えた瞬発力を見せくれます。また反対に被写体の動きを利用した撮影方法もあります。その一例が打ち上げ花火が大きく開いた写真。花火の光を長時間露光で撮影することで写るもの。これも動きを意識して撮影できる方法のひとつ。
意図的に被写体の動きをコントロールするには、露出の仕組みを知っておくことも大事です。露出とは、シャッタースピードとレンズの絞りの相対関係の組み合わせで決まります。詳しくはここでは書きませんが、写真を上達させるためには、露出の理解は必須事項です。
また、瞬間の動きを止めるかどうかだけがポイントとは限りません。被写体が動くことで変化する姿勢や向く方向などもシャッターを切るタイミングの判断基準になります。被写体の人物の顔がこちらを向いている場合と反対側とではまるっきり違う写真になるということを想像すればわかりやすいです。
動きの見極めを鍛える
被写体の動きの見極めができると写真の出来映えに反映する。例えば花火の開き方や広がり方を瞬時に見極めるようにすることなど。
撮影する前に被写体の動きをよく見ていると、規則性のある動きのあるもの、動くタイミング、動く速さや動きだしのタイミングなどがわかります。これらの事前の観察から得た情報をもとに撮る瞬間をイメージして、撮影するときに活用します。
この観察力は、カメラを持ってなくても鍛えることが出来ます。日頃から目にするものの動きをよく見て、この場面を撮影するのならどのタイミングでシャッターを切るかを考えます。意識的に写真を撮るイメージを日頃から持っていると写真を撮るタイミングの勘のようなものが身についていきます。
これはスポーツをするときの筋力トレーニングにも似ています。しばらくトレーニングを怠っていると反射力が鈍るように感じます。動く被写体に対してシャッターを切るタイミングが付いていけない状態になることがありますが、これはしばらく動く被写体を撮ってないときに感じるもの。
そうかといって毎日トレーニングをするほどの必要はありません。気になったときに、撮影することを意識して観察するという習慣づけをするだけでも効果はあります。
被写体の動きひとつに注目するだけでもこれだけの要素があり、対策できることがあるわけです。ここからも写真撮影の奥深さが垣間見えるのではないでしょうか。
被写体の動きをテーマに撮影してみるとこれまでは違った発見があるかもしれません。