ワンランク上の歯ブラシの使い方
歯磨きができるようになったら、歯ブラシの角度や、磨き方にもちょっと気配りしてみると、さらに歯磨きの効果が高まりますよ。是非、試してみてくださいね。歯に対して歯ブラシの角度を45度に。歯と歯肉の間の溝(歯肉溝)も綺麗にするようなつもりでブラッシング。
歯と歯肉との境目あたりを矢印のように歯ブラシで軽くマッサージする。歯肉溝の汚れを落とすのに効果的。
歯の表面の汚れを落とし、歯肉のマッサージ効果が期待できる。ただし、歯肉溝の汚れを落とす効果はあまりない。
スケラーは安易に使わないこと
藤田先生お勧めの犬用歯磨きペースト。歯磨きの際にこういったものを使うとなお効果的。 |
■スケラーは安易に使用しないこと。
本来、スケラーを使った後には歯の表面を滑らかにする必要があるのですが、素人がスケラーを使用した場合、一見して綺麗に見えている歯の表面も、実は傷がついてしまうことで逆に歯石がつきやすい環境を作ってしまいます。また、歯肉溝の歯垢・歯石までは落としきれていません。加えて、スケラーを使用することで歯肉を傷つけたり、犬に痛い思いをさせてしまうこともままありますので、それによって犬が口を触られること自体を嫌がるようになってしまうケースがあります。スケラーを使用する場合には、やはりそれなりの技術と気配りが必要になります。
■歯磨きのし過ぎにも注意。
中には「歯磨きをしなければ」と一生懸命になり過ぎてしまう人もいます。やり過ぎによって、歯が健康になるどころか、歯肉が後退してしまうほど磨いてしまう人もいるとか。何事もほどほどに、ということですね。
少なくとも一日おきに歯磨きするのがベスト
そもそも歯垢というのはどのくらいの時間でできるのでしょうか? その答えは、犬の場合、食後おおよそ24時間以内。顕微鏡学的には数時間ででき始めるそうです。それが歯石へと変化するのは、犬ではおおよそ3~5日のうち。人間の場合は、25日程度かかるそうです。口の中のpH(ペーハー)の違いなど(これについては第1回目の記事で説明)によって、犬のほうがずっと早くに歯石になりやすいということです。まだ歯垢のうちでしたら歯磨きだけでも充分に落とせますから、歯石になる前に対処してあげたいものですよね。この歯垢から歯石への変化するサイクルを考慮すると、少なくとも一日おきくらいには歯磨きをしてあげるのがベストと言えます。また、スプレータイプなどのデンタルケア製品もいろいろ販売されておりますが、そういったものだけに頼るのではなく、歯磨きとペアにして使うのが最も効果的だそうです。
「野生動物にはほとんど歯周病はありません。狼を例にとってみれば、獲物の内臓にある植物の繊維や、獲物自身の筋肉組織など様々なものがうまく歯の汚れを落とす作用も担っているのでしょう。ペット動物である犬にどうしてこれほど歯周病が多くなっているのか。それは、食事内容や環境などの変化などいくつかの要因はあると思いますが、言ってみれば私達人間が作り出してしまった病気であるとも考えられます」(藤田先生)
ならばなおさらのこと、私達飼い主が、愛犬達の歯の健康を守ってあげたいものです。それは、体全体の健康にもつながるのですから。愛犬にいつまでも健康で長生きをして欲しいと思うならば、今日からでも始めてみませんか? 歯磨きを!
画像資料提供/フジタ動物病院院長藤田桂一先生
【関連記事】
⇒デンタルケア:「犬の歯について学ぶ」編(第1回目)
⇒デンタルケア:「歯周病と、その治療法」編(第2回目)
【プロフィール】
藤田桂一先生/フジタ動物病院院長、獣医学博士
1985年日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)大学院獣医学研究科修士課程修了。1988年、フジタ動物病院を開院。2000年、「猫歯肉口内炎に関する獣医歯科学的研究」において獣医学博士号を取得。日本小動物歯科研究会の理事でもある。
【関連サイト】
フジタ動物病院(患者さんの立場に立った医療を信条とし、特に歯科医療分野に力を入れている)
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