まず、前回の復習を兼ねて、シェイピングとは何か?というところからもう一度話を始めることにします。
=Index=
・シェイピングについて復習と、その利点
・シェイピングのポイント
・シェイピングを用いて“Go to Bed”に挑戦!
シェイピングは行動分析学に基づいている
「シェイピングは、ゴールとなる行動を決めて、それに向かって細かなステップ考えるところから始めましょう」(山田りこさん) |
シェイピングとは、新しい行動を身につけさせたい時、もしくはある行動をより洗練されたものにしたい時に、イベントマーカーと強化を用いて、細かいステップを踏みながら、少しずつ目的の行動に近づけ、最終的に目的とする行動を明確にする、という考え方と手法のことを言います。
“シェイピング(行動形成)”や“強化(リインフォーサー)”といった言葉は、近年、犬の世界に突如現れたような感じもしますが、実は人間の世界ではすでに取り入れてられている理論なのです。
このメソッドに“シェイピング”とネーミングしたのは、行動分析学や行動心理学ではその名を知られたB. F. Skinner博士でした。その発見は、偶然によるそうです。ハトがボウルにエサを移せるかどうか? これがその時のテーマだっだとか。ボウルを見る→ボウルに近づく…というふうに、細かく行動を強化(この場合は、オートマティックフィーダーからのコーンがご褒美)することで、短時間のうちにハトは目的の行動がとれるようになったそうです。
シェイピングの利点
Skinner博士の娘にあたる、行動分析を専門とするJulie Vargas博士の言葉によれば、「シェイピングは、どんな環境であっても、(その動物ができることであるならば)あらゆる行動を研ぎ澄ませることができる」と。では、シェイピングの利点について、ここで少しまとめておきましょう。
1:新しい行動を構築するまでがとても早く、また有効である。
2:学習しているほうにとっては、エキサイトメントで、わくわく楽しみながら学習をすることができるので、自ずと学習意欲もわく。
3:自らが行動を起こすことで身についていくので、その行動を長い間覚えていることができる。
4:従来のトレーニング方法では教えられないような行動も教えることができる。
5:対象となる動物を観察しながらトレーニングを行うので、犬の感情や心理が理解できるようになってくる。学習しているほうも(この場合、犬)能動的にトレーニングを楽しんでいるので、言ってみれば犬と飼い主とによる“ラーニングチーム”としてトレーニングを行っていることになる。
6:子犬からシニア犬まで、またどんな動物でもトレーニングを行うことが可能である。
次のページでは、シェイピングを行う際のポイントについて教えて頂きます。