前回紹介したパリ郊外にあるホテルLES ETANGS DE COROT(レ・ゼタン・ドゥ・コロー)には、印象派の巨匠コロー(Corot)にゆかりあるレストラン「Le Corot restaurant(ル・コロー・レストラント)」があります。
画家コローの別荘があったと言われるヴィルダヴレ湖の風景
レストランの前には、緑豊かな森に囲まれた小さな湖畔「ヴィルダヴレ湖」があります。19世紀のフランス美術界の中で最も優れた風景画家のひとり、バルビゾン派のジャン=バティスト・カミーユ・コロー(Jean-Baptiste Camille Corot)が、この池を題材にいくつもの絵を描いています。この池は、現在「コローの池」と呼ばれています。コローがヴィルダヴレの別荘にたびたび滞在して、池のほとりにキャンバスを構えたのは100年以上も前のことになります。パリの中心街から車でわずか20分の所なのに、今も当時の面影を残しているのは奇跡としか言いようがなく、フランスの文化の成熟度を知ります。
絵画に囲まれた異空間
「Le Corot restaurant(ル・コロー・レストラント)」
コローの名画が置かれているエントランス
レストランの入り口には巨大な複製画がパーティションとして飾られ、その肖像画の大きさに圧倒されます。伝統的フレンチ料理が楽しめる「Le Corot restaurant(ル・コロー・レストラント)」には、所狭しとコローの絵が無造作に飾られ、まるで彼のアトリエを訪れたようです。 写真右の肖像画は、彼が晩年に描いた作品「真珠の女」は人物画の代表作。この作品はダ・ヴィンチの名作「モナ・リザ」を意識して描かれたと言われています。
コローの名画が置かれているレストラン
コローレストランには3つのシーンが作られています。1つは、コローの絵画に囲まれたアトリエ風な空間。壁面いっぱいに描かれた湖畔の風景と狩りの様子が、そのままゲストを一世紀前のヴィルダヴレ村に連れ戻すようです。すばらしい遺産であるコローのアートワークを、最大限に生かしたインテリアは、ヴィルダヴレの森や池を不死鳥のようにを回想することができ、そして文化的な薫り高いフランスの魅力に触れることができます。
野生動物の剥製
二つ目のシーンに飾られたのは、たくさんの動物の剥製。ヨーロッパではその昔、富の象徴として、ハンティングの成果である野生動物の剥製が飾られました。かってヴェルサイユの森として盛んに狩りが行われたことを象徴するようです。素敵な遺産であるはコローのアートワークとフランスの文化に基づいたインテリアは、本格的でかつ革新的なフランス料理を提供するガストロノミーとしての魅力を備えています。
*gastronomy(ガストロミー):ガストロノミーとは、文化と料理の関係を考察することをいう。 日本では美食術、美食学とも訳される。(Wikipediaより)
ガーデンを見渡せる円形の開口部
三つ目のシーンは、中庭のガーデンを見渡せる円形の開口部があるコーナーです。まるで南欧のリゾートのようです。深いマロンカラーの窓枠と高い天井から降りている赤色と生成色のドレープ、床に敷かれたカーペットにも、同じカラーの繰り返しのパターンが使われています。さりげない景色ですが、よく見ると計算されたコーディネートになっています。
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「パリの茅葺き!
中庭にあるコテージ風レストラン「パイヨット」に続きます!