分配金の平均水準は上昇傾向
毎月分配型投信の分配金について年間分配金合計額を算出してみたところ、2013年の平均額は800円を上回り、過去最高を更新したことが分かりました。これを12で割ると、月平均は約70円。投資家が要求する月次分配金の水準は上昇傾向にあり、かつて「グロソブ」が脚光を浴びた2000年代半ばの30~45円から、現在は、米国のハイ・イールド債券に投資するタイプやリート型に多い、70~75円という水準が平均になりつつあります。
また、毎月分配型投信の既払い分配金の合計額を基準価額で除した、いわゆる「分配金利回り」についても、2012年とほぼ横ばいの8.7%という高い水準を維持しています。
国内投信残高の約7割は毎月分配
今や国内追加型株式投信残高の約7割を占めるまでに成長した毎月分配型投信は、2008年のリーマン・ショックを境として、より高い分配金を支払うファンドへと人気がシフトした経緯があります。不安定で先の見えない市場環境が続く中、中長期の値上がり益よりも足元の分配金という考えが一般化し、いつからか「分配金利回り」あるいは「分配率」という単語も広く使われるようになりました。この現象に拍車をかけたのが2009年に登場した通貨選択型の存在で、後に二ケタ台の利回りを確保するファンドも珍しくなくなりました。
定期的なキャッシュフローを受け取りたいという投資家のニーズは、年金受給層とその予備軍を中心に根強く存在しています。投資家のニーズに応える形で、毎月分配型投信が進化を続けてきたことはごく自然な流れと言えます。しかし、受け取る分配金の要求水準が上昇傾向にある中、運用実力以上の分配金を支払うファンドも珍しくなくなりました。前述の分配合計額も、こうした「無理な分配」が積み重なった結果と見た方が良いでしょう。なお、元本の払い戻しに相当する部分は特別分配金となり課税はなされませんが、中長期に見ると、運用効率の悪さがファンド全体の運用成績に影響する可能性もあるので注意が必要です。