なぜ株価の変動率が大きいのか?
日本株は2014年1月に、月間で5年ぶりの大きな下落を記録しました。そういえば、2013年あたりから株価の変動率が大きくなっています。株価の上下動の振れ幅がとても大きいことを、専門的には「ボラティリティが高い」といいます。しかし、なんでボラティリティが高くなってきたのでしょう。
株価が動く3つの理由
株価が動く要因は、大きく分けると3つあります。1、企業の決算内容
2、将来の景気動向
3、投資家のニーズ
1の企業決算が日々大きな変化をするはずがありません。いや、むしろ、最近では、日本の大企業の好決算が連日報道されています。けっきょく、今の株価の乱高下は、企業決算とは無関係に発生しているようです。
2の将来の動向ですが、これが毎日ブレるような致命的な事件がひんぱんに起こっているでしょうか?いえ、そんなことはありません。世界は5年前のリーマンショックからの回復の途上にあり、5年前に比べたらまったく明るい指標に満ちています。もちろん、不安や不確実性はありますが、相対的には良くなっているという方向性は不変です。
問題は3ですね。しかも、ほんの一部の投資家の事情です。世界にはどん欲な投資家がいて、どんなときでも自分だけ大もうけしたいと狙っています。どん欲な投資家は、マーケットの変化を先読みして、ある方向性に賭けて、マーケットの変化を増幅させます。年明けから起こっている日本株をめぐる取引が、まさにその事例そのものです。
海外の投機筋の事情
そもそも株価は右肩上がりですから、良い銘柄を買って持っていれば、資産運用は成功です(と長期投資家は考えます)。近年は大きな下げが続きました。ITバブル崩壊、同時多発テロによる暴落、リーマンショック、ギリシャショック、欧州危機そして今回の新興国通貨の暴落などです。それでも長期で持っていればだれでも資産を増やすことができたわけですので、普通の個人の人でしたら、それでも報われていた相場でした。
しかし、資産運用を職業として、他人の資産を一定の上昇率を維持しながら増やそうとする人には、満足できない相場でした。そこで、百戦錬磨のツワモノたち(海外の投機筋)は考えます。
「マーケット成りの成績では満足できないから、それを上回る成績を上げるために、いろいろな変化を作ろう」
「マーケットの先を見越して、先手を打って賭けに出れば、もっと儲けることができるはずだ」
株に先安感があれば空売りをして下げを煽る。上がりそうなときは借金をしてでもがっちり買い込んでおく。そのために、先物を使う、レバレッジをかける、オプション取引を組み入れるなどの戦略を駆使します。投機家たちは、手の込んだ取引をして、運用成績を上げて、自分たちの報酬も増やそうと考えました。
結果として、相場が下げるときにはより大きく下げて、上がるときにはより大きく上げることが起こります。ボラティリティが高くなります。
上げても下げても結果は同じ
下のチャートをみてください。過去84年間の米国株価(S&P500)の推移です。基本的な価値上昇が直線的に発生していたと想定すると、株価の動きはジグザクです。長期の上昇直線を上回っていたときはバブルのように気前良く株価を過大評価していた強気相場です。直線を下回った時期は悲観的になって株価を過小評価していた弱気相場です。
直線のリターンはだれでも手に入れられる正当なリターンです。が、それに満足できない人は、その直線からのかい離を大きくすることで自分だけの超過リターンを作ろうとするわけです。
だから、ボラティリティが高くなるのです。というか、投機筋が自分たちの利得のためにボラティリティを高めているのです。
では、私たちはどうしたらよいのでしょうか?
投機筋のマネをしてはいけない
どん欲な投機筋のマネをしたら儲かりそうなものですが、それこそリスクが高いので、注意が必要です。過去に、破産したり、争いに巻き込まれたり、牢獄にぶちこまれたりした人は後を絶ちません。多くの人は、そんなアブナイ目に会うくらいなら、平凡なリターンでも満足できるはずです。だれにでも得られる平均的なリターンを確実に手に入れたらありがたいと思いませんか?そうであれば、途中経過は目をつむってください。私たちは、チャートの起点と終点だけにだけ注目していればいいのです。
そのために長期投資の信念が不可欠です。
目前の乱暴な相場には目もくれず、当たり前のリターンが得られるのじっくりと待ちましょう。
当たり前のことをコツコツやっていれば、必ず報われるのが人生です。