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佐村河内問題に考える、「ゴースト」の歴史と存在意義(2ページ目)

ソチの熱狂に負けず劣らず、日本中を騒がせている佐村河内問題。ネット上でもさまざまな切り口の解説や反応が見受けられますが、ここではゴーストライターに絞って、考えてみたいと思います。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

お笑い・バラエティ番組ガイド

芸能界に暗躍するゴースト

冒頭で「芸能界でゴーストは当たり前」というコメントを紹介しましたが、これこそ公然の秘密というヤツですね。佐村河内氏にからめて、飛ぶ鳥を落とす勢いの音楽プロデューサーが、作詞にゴーストを使ってるのではという疑惑の声も、ネット上を騒がせてますけど、当たり前じゃないですか(笑)。

音楽ではないんですが、以前、この某氏がエッセイを出版しています。その奥付には「編集協力」という肩書きで別人の名前がありました。この男性が後にベストセラーを執筆して一躍有名に。続いて自身の名前で発表したエッセイでは、この代作行為を明らかにしました。著作がそういうことであれは、作詞についても推して知るべしでしょう。

もちろん著作、音楽どちらについても、違法でもなければ業界内のコンプライアンスにも反してません。建前上はともかく、実質的にはゴーストは必ずしも悪いこととされていないようです。

ゴーストライターは「芸術」を生み出せるのか?

では、佐村河内氏の件も問題なしかと問われれば、当ガイドの見解は多少違ってきます。

本やCDをはじめ、すべての創作は大きく3つに分けられると思うんです。芸術と娯楽と実用の作品に。このうち娯楽と実用は、日常的に代作が行われていますし、その事で誰かを傷つけてる訳ではない。

ただし、芸術作品の場合は作者とされる人物が全く関与していないケースはまず考えられません。今回の場合、クラシックという芸術枠で発表された交響曲やソナチネが18万枚の売上げを記録したからからこそ、ニュースになった訳です。

じゃあ、なぜ芸術は代作が許されないのか? あくまでも当ガイドの意見ですが、作品と作者を切り離すことができないからです。近日中に開かれるらしい佐村河内氏の記者会見を、ゴーストの問題についても詳しく論議されることを望みたいですね。
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