小僧は鮨屋で腹いっぱい鮨を食べる
Aは子供が幼稚園になり、その成長が楽しみで、風呂場に秤(はかり)を買おうと、偶然、仙吉のいる店にやってきた。店の人に、「その小僧さんに運んでほしい」と頼み、仕事を終えたあと、仙吉にご馳走してやると言う。 小僧は「その辺まで一緒においで」とAに言われあとをついていく。蕎麦屋の前も、鮨屋の前も、鳥屋の前も通り過ぎてしまった。「どこへ行く気だろう」仙吉は少し不安を感じ出した。神田駅の高架線の下を潜(くぐ)って松屋の横へ出ると、電車通りを越して横丁の或る小さい鮨屋の前へ来てその客は立ち止まった。
神田駅はこの小説が発表される前年に中央本線の駅として開業している。この文章に出てくる電車通りとは中央通のことだ。仙吉が連れていかれた鮨屋は番頭たちが話していた今川橋の松屋近くにある店だった。そこで、Aはいなくなり、小僧は一人で腹いっぱい鮨を食べる。Aが代金を支払ってくれたのだ。
ここで終わりではない。この小説、最後に意外なオチがあるのだが、それは読んでからのお楽しみということで、今回はここで散歩は終了だ。
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ぐるなび - 日本橋 蛇の市本店
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