助成金申請業務の留意点
助成金をクライアント企業に案内する時に、気を付けたいポイントが2つあります。1つめのポイントは、必ず該当する助成金の最新の情報を確認しておくことです。
雇用保険関連の助成金は、年度ごとに新設や廃止、統廃合などが行われている上に、年度の途中でも要件や受給額が変更されたり、予算の都合上申請受付が停止されたりすることもあります。
2つめのポイントは、実際に手続きを開始する前に、クライアント企業の雇用状況が各助成金の詳細な要件に適合しているかを確認しておくことです。
助成金を受給するには詳細な要件が定められていますが、財源が雇用保険料で賄われているだけあって、例えば、クライアント企業が労働保険料を収めていない、従業員を適切に雇用保険に加入させていない、直近で従業員を解雇している、などといった事実が認められると要件を満たせない可能性があります。
この点を十分に精査してから手続きを開始しないと、後になって「実はお金がもらえませんでした」といったことになり、クライアント企業とトラブルになる恐れもあるのです。
助成金の詳細な情報は、ハローワークに行けば最新の冊子を入手できるので、まずはその冊子を読んで把握しましょう。また、厚生労働省のホームページでも確認することができ、最新情報が更新されていますので、必ずチェックしておきましょう。それでも不安な場合には、労働局やハローワークの助成金担当窓口に直接確認するのが、最も確実ですね。
助成金申請業務の報酬相場は?
助成金申請を代行する際の報酬ですが、一般的には成功報酬型として受け取ることが多いと言えます。報酬金額の相場は、各社労士事務所の方針や助成金によりケースバイケースですが、概ね企業が受給する金額の10~30%程度ではないでしょうか。また、社労士事務所によっては、完全成功報酬型ではなく、一部着手金を設定することもあります。助成金によっては、就業規則の作成や改訂などが必要な場合もあり、受給のためにそれら業務も受託した場合には、別途報酬を受け取ることも考えられます。
助成金によっては、事業主が受給できる額が数百万円(中には1千万円超も)になるものもありますが、最近の全体的な傾向としては受給額が縮小していて、一昔前に比べると企業に魅力的な、いわゆる“おいしい”助成金は減っていると思います。
とはいえ、企業が有効活用しやすい助成金は幾つかありますので、助成金申請はいまだ社会保険労務士の営業ツールであり、これから開業を目指す方も助成金についてはしっかり研究しておくことをお勧めします。