2014年3月のオススメ展覧会・美術展
まだまだ寒い日は続くものの、お出かけしたくなる展覧会が続々と開催中!気持ちの盛り上がる展覧会、リニューアルオープンした美術館を紹介します!
ハムレットにつれなくされて、歌いながら川のなかに沈んでいくオフィーリア。ラファエル前派展で展示中。
ジョン・エヴァレット・ミレイ 《オフィーリア》1851-52年 油彩・カンヴァス テート美術館蔵 ©Tate,London 2014
◎2014年3月のオススメ美術館-目次-
・森アーツセンターギャラリー(六本木):テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢
・三菱一号館美術館(丸ノ内):ザ・ビューティフル 英国の唯美主義 1860-1900
・国立新美術館(六本木):イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる
・十和田市現代美術館(青森県):妹島和世 + 西沢立衛 SANAA 展
・渋谷区立松濤美術館(渋谷):ハイレッド・センター:「直接行動」の軌跡
画家たちの人間関係にも注目
森アーツセンターギャラリー(六本木):テート美術館の至宝
ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢
1848年、イギリスの若き画家たちは、保守的で形式を重んじる当時のアカデミズムにイライラしていました。「巨匠ラファエロよりも前の時代、初期ルネサンスのころのような絵こそ、素直で誠実に描かれている。この時代に戻るべきだ!」そんな気持ちを持ったジョン・エヴァレット・ミレイやダンテ・ガブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハントらが中心になって結成された画家グループが「ラファエル前派兄弟団」(通称ラファエル前派)なのです。
彼らラファエル前派は、場面を正確に描くために戸外での制作を試みたり、知人や友人にモデルを頼むなどして、極めて写実的な歴史画、宗教画や、物語を題材にした作品を作り上げていきました。ページ冒頭に掲げたミレイの『オフィーリア』もそれら作品の一つ。
ミレイはこの絵を描くためだけに、ロンドン郊外の町に数ヶ月滞在して植物の写生に励み、モデルの女性をバスタブに浸けてデッサンを繰り返したそう(モデルの彼女は後にロセッティの妻となるエリザベス・シダル)。絵画に近づいてよく見てみるとオフィーリアの周囲に、木々や花々の精密な描写を見ることができます。
ロンドンのテート・ギャラリーは、この『オフィーリア』をはじめ、ロセッティの代表作、『受胎告知』や『プロセルピナ』、ウイリアム・モリスやハント、バーン=ジョーンズなどラファエル前派の良質なコレクションを所蔵しています。
この展覧会は、それら主要作品が一堂に介する貴重な機会。イギリスにいかずとも、しっかりラファエル前派の作品72点を目にすることができます。ぜひ、じっくりとご覧ください!
また、次のページで紹介する「ザ・ビューティフル――英国の唯美主義1860-1900」展は、このラファエル前派の運動に続く19世紀後半の美術運動がテーマの展覧会。ふたつの展覧会をハシゴすると、心がさらにおだやかになり、さらに当時のイギリス絵画の歴史をより深く知ることができるはず。
■DATA テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢について
展覧会名称:テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:2014年1月25日(土)~4月6日(日)
開館時間:10:00-20:00
※1、2月の火曜日は17:00まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:無休
Web: http://prb2014.jp/
次のページでは三菱一号館美術館(丸ノ内):ザ・ビューティフル 英国の唯美主義 1860-1900を紹介します。