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派遣、ブラック、フリーター…働き方を描くドラマ5選

フリーター、派遣、就活、第二新卒、ブラック企業、リストラ。ドラマではさまざまな働き方や問題点を描いてきました。そんな中で印象的な作品を5つ選びました。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

昨年末に出版された「アラフォー男子の憂鬱」。

アラフォー世代の論客、速水健朗、常見陽平、赤木智弘、おおたとしまさの四人が同世代の過去から現在、そして今後を語り合った新書です。この中でドラマについて興味深い指摘があります。

ガイド記事
『明日、ママがいない』は野島伸司「風」ドラマ

でも野島伸司ドラマが影を見せ始めた転換点として取り上げた『愛という名のもとに』が「フリーター」をかっこいい生き方として描いた代表例だというものです。

『愛という名のもとに』は1992年にフジテレビで放送。大学のボート部出身の7人が卒業して3年、それぞれ理想と現実のギャップに悩む姿を描いた群像ドラマです。特に中心になったのは主人公・藤木貴子(鈴木保奈美)、恋人の高月健吾(唐沢寿明)、大学時代に貴子をかけて健吾と争った神野時男(江口洋介)の三角関係。
貴子は高校教師、健吾は代議士である父(竜雷太)の秘書として、二人は現実のしがらみに囚われているのに対し、時男はガテン系バイトで金を貯め、海外に飛び出す夢を持っている。と前向きに描かれていました。

『愛という名のもとに』がフリーターをかっこいい生き方として描いていた、というのを聞いて同じ1992年に放送された『悪女(わる)』が「ハケン」を前向きに描いていたことを思い出しました。

『悪女(わる)』は商社に入社したものの実力もコネもなく備品管理室に配属された田中麻理鈴(石田ひかり)が、所属部署のわからない社員に一目惚れ。再会するために出世しなくては、と努力で困難を乗り越え、運も手伝いプロジェクトに抜擢されるなどの活躍を描く痛快作でした。
最終回では女性に対して偏見のある上司(岸部一徳)を怒らせた責任をとって退社。しかしプロジェクトの成果として始動した派遣会社に登録して舞い戻るという結末。「ハケン」がポジティブに描かれていました。

1992年はバブル崩壊後とはいえ、その後のことを思えば景気がよかったころ。非正規雇用がまだいいイメージを持っていたんですね。

ということで、さまざまな働き方やその問題を描いた連ドラを5作紹介します。


シューカツ、第二新卒・『フリーター、家を買う』

シューカツをメインテーマとして取り上げた連ドラはまだありません。中心にするには厳しすぎるのか、それともスポンサーに矛先が行くことをさけるためか?(『銭ゲバ』で派遣切りを取り上げてスポンサーが非難された前例があります)

現在放送中の『僕のいた時間』の第一話はかなりいい線ではなかったかと思いますが、ここでは第2新卒のシューカツを描いた『フリーター、家を買う』を。

武誠治(二宮和也)は新卒で入った会社になじめず三ヶ月で退社。就職活動がうまくいかず、ひきこもり気味。しかし母・寿美子(浅野温子)のうつ病が明らかになったため一念発起。とりあえず金になる仕事をと大悦土木の現場作業のアルバイトに。肉体労働の中で働くことの意味を考え直し、最終的には母のために家を買うことを目標にし、また大悦土木への就職も決まります。

有川浩原作作品のドラマ化は他に『空飛ぶ広報室』に現在放送中の『三匹のおっさん』、映画化は『阪急電車』『図書館戦争』『県庁おもてなし課』など多数。わかりやすく、同世代だけではなく多くの人に共感を得られるドラマです。

 

ブラック企業・『ダンダリン』

労働基準監督署の監督官の段田凛は法令違反の企業を発見すると見逃すことができない性格。あまりの融通の効かなさに周囲は彼女のペースに巻き込まれてしまう。やがて問題を避けがちな上司や同僚たちも、彼女のひたむきさに影響され労働者のために奮闘します。

裏の『リーガルハイ』にやられて視聴率は低迷しましたが、毎回、実例に基づく雇用の問題を描き、それをやや飛躍がある場合もあるものの、現実的な解決策を示します。ブラック企業の状況と対策がよくわかるドラマでした。

 

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