「できるだけ安く住宅を取得したい」というのは、住まいづくりを検討する皆さんに共通するテーマだと思います。そうした強い要望に応えるため、ハウスメーカーなどでは常にコスト改善を行い、より良い住宅をより安く提供する努力を続けています。では、どのような取り組みを行っているのでしょうか。今回の記事ではその具体例の紹介とともに、そこから見えてくる「住宅価格」の考え方についても考えていきます。

アキュラホームによるコストダウンの取り組み

昨年12月に、アキュラホームが開発中の分譲地の施工現場を見学する機会がありました。アキュラホームは「適正価格の住まいづくり」をキャッチフレーズにしている中堅規模のハウスメーカーです。「1000万円台からの注文住宅」などというアピールでもおなじみですね。

コストダウン試行棟

アキュラホームがコストダウンをどこまでできるかにチャレンジした分譲住宅の1棟(埼玉県東松山市)。50以上の項目について取り組みが行われた(クリックすると拡大します)

また、「JAHBnet(ジヤーブネット)」という工務店組織を主催しており、加盟する工務店に対して住まいづくりの技術や経営ノウハウの共有を行い、「適正価格」かつ良質な住宅の供給を全国規模で広げようとしているという側面を持つハウスメーカーでもあります。

なぜ、施工現場を見学してきたかというと、そこで「新たなコストダウンの試み」が行われていると聞いたからです。そこから、住まいの「価格」について、皆さんの参考となる内容があると思いますので、まずご紹介しようと思います。

アキュラホームによると今回の施工現場で
(1)土のムダを無くす
(2)施工の合理化
(3)スケルトンインフィルの活用による低価格化
(4)新たな試みによるバリューアップ

が行われたそうです。(1)と(2)はコストダウン、(3)と(4)は付加価値アップの試みです。

このうち土に関わるムダの排除で13万円のコストダウンが可能になったそうです。具体的には地盤改良・地盤・基礎の見直し、配管の見直し、外構工事などが対象。これらにより土を掘る量が減らされたのが、13万円というコストに反映されるわけです。

全体で100万円のコストダウンを実現!?

一般的にこれらにより発生する残土は、産業廃棄物として処理しなければいけません。それには当然コストがかかり私たちの住宅取得のコストに反映されるわけですから、残土の量は少なければ少ないほど私たちにとってメリットが多くなります。今回はできるだけ残土を出さないようにする、さらに出てきた残土を外構工事に利用するなどの新しいアイデアを採用したそうです。

外構

「土」に関するコストダウンの成果。基礎工事などで発生する本来は産廃となる土を活用し、外構に役立てた事例だ(クリックすると拡大します)

施工の合理化では、現場施工時の手間を省くこと、言葉を換えると省力化、工事時間の短時間化を図ることが重要になります。特に今は大工さんや職人さんの手間賃が高まっていますからこれは非常に重要です。アキュラホームでは、資材の梱包を外して現場に搬入すること、作業をする上で養生(保護材を取り付ける)をしなくていいようにする取り組みも行ったそうです。

前者については施工現場で梱包材を外すとそれだけ時間がかかりますし、それが邪魔になり作業の効率を損なうこともあります。後者は室内工事についてですが、施工を上から行うことでキズの発生を防げますし、キズが付かない非木材系の床材を採用することを試みていました。このほか、玄関収納などについては施工現場以外の場所で組み立てて搬入することでコストダウンを図ったそうです。

(3)は分譲住宅だからこそできる試み。スケルトンと外観、外構を完成させた上で、内装(インフィル)については一定の制約の中で自由に購入者が決定できるというスタイルです。分譲住宅の間取りを「変えられない」から「変えられる」ようにし、魅力と満足度を高めるという狙いがあります。

このほか、軒の出(庇)の長さとバルコニーの奥行きを1200ミリとすること、大きな玄関収納の採用など、これまで「高い」「特殊」と思われていたことにもチャレンジ。その結果、従来では本体価格1380万円だった建物を1280万円にすることができた、つまり100万円のコストダウンが可能となったといいます。

次のページでこの試みから考える住まいの「価格」についてさらに深掘りします。