過去問分析
日商簿記検定の試験では、前回問われた内容が連続で出題されることもあります。最近出たから確認しなくてよいというものばかりではありませんので、注意してください、ここでは、決算仕訳で登場する「売上原価」勘定の知識を整理しておきましょう。1. 売上原価の計算
売上原価の計算は大丈夫でしょうか。
算式としては、「期首商品+当期仕入-期末商品」となります。
当期の販売に充てる商品は、前期末に売れ残り当期に繰り越されてきた「期首商品」と当期に仕入れた分です。そこから当期の売れ残り分を引くことで販売した商品の原価を算定する仕組みとなっています。
2. 売上原価勘定を用いた会計処理
下記では仕訳と帳簿の記載を見ていきます
イ 開始仕訳
上記の算式で確認したように、繰越されてきた分が当期の売上原価を構成するわけですから、仕訳は、
売上原価 ××× / 繰越商品 ×××
です。
繰越商品が減少しますので繰越商品の元帳の貸方欄に減少分を記入し、摘要欄には相手科目である「売上原価」を記入することとなります。逆に、売上原価は増加しますので、借方に増加分を記入し、摘要欄には相手科目である「繰越商品」を記入します。裏返しの取引となっています。
ロ 当期仕入
当期仕入分を売上原価に振り替えるわけですから、仕訳は、
売上原価 ××× / 仕 入 ×××
となります。
売上原価の元帳の借方欄に増加分の金額を、摘要欄には相手科目の「仕入」を記入します。
ハ 期末仕訳
上記ロで当期仕入れ分の全額を売上原価勘定としてしまっていますが、売れ残って繰越すこととなった期末分があるわけですからその処理をします。
仕訳は、
繰越商品 ××× / 売上原価 ×××
となりますので、売上原価の減少と繰越商品の増加をそれぞれの元帳に反映させます。
丁度、上記イと真逆の処理をすればよいことになります。
対策
「伝票会計」については、前回も述べたとおり構造が理解できていれば高得点も望めます。どの論点が出題されても比較的時間もかからない問題が多いため、試験が開始されたらなるべく早い段階で内容を確認してしまうとよいでしょう。試験においては、「第1問から順番に解く必要はありません。」
特に、第4問などは、満点が取りにくい難解な出題も予想できますので、時間をかけずに簡単に解けるところだけ拾う意識で臨むとよいでしょう。