まぎれもなくモンキーの遺伝子を継承したバイク・グロム
1967年に発売が開始されたモンキー Z50M。ホンダはモンキーを「レジャー系モーターサイクル」というカテゴリーに分類しました。レジャー系モーターサイクルには他にダックスやエイプといった車両も同カテゴリに分けられていますが、いまだに根強い人気です。
特にその中でもモンキーは改造して自分なりの個性的なバイクに仕上げるという文化が根強く、独自の文化を形成してきました。しかし、モンキーはフレームが短く、タイヤはわずか8インチ。車体の小ささから乗車時のポジションも窮屈なため、公道で快適に乗れるようにするには、かなり改造を施さなければなりません。
今回紹介するグロムは125ccでモンキーよりは車体も大きいため、“走れるモンキー”と表現する人もいます。しかし、「昔からのオートバイのデザイン」というイメージのモンキーに対して、グロムは流行のデザインを採用しています。こんなのモンキーじゃない……と最初は思っていたのですが、試乗してみたところ、「グロムは間違いなくモンキーの遺伝子を受け継ぐ車両だ」と思わされました。
グロムのエンジンはタイカブエンジンベース
タイで販売されているWave125iという車両があります。この車両は「タイカブ」と言われていますが、グロムのエンジンはWave125iなどの車両に使われているエンジンをベースに作られています。ミッションもマニュアルクラッチの4速リターン式で、やはりWave125iのミッションをベースとして採用しています。なお、モンキーのエンジンはカブのエンジンがベースになっています。
実際に乗ってみると、グロムのエンジンは低回転から、中回転域で力強く加速していきます。もともと重い荷物を積むことを前提に作られている商業車両のエンジンがベースなので、特に信号待ちからのスタートダッシュは気持ちよく加速していきます。街中で一番使うことが多いギアは3速ですが、低速走行時もギアを下げることなく走ることができるトルクは市街地での走行を快適にしてくれています。
グロムのハンドリングは非常に軽快
今回試乗したグロムはホンダさんから広報車両をお借りしました。青山のホンダ本社でお借りして、都内の道を走ってみました。都内の道は3車線、4車線、時に5車線の道もあるため、車線変更を繰り返して走行しましたが、右に、左にと自由自在に車体をコントロール出来ます。
コーナリング時にギアを落としていくと、エンジンブレーキがしっかりと効き、あわせて前後のディスクブレーキがよく効きます。しっかりと減速し、比較的早い段階でアクセルを開けて曲がることが出来ました。
グロムのタイヤは12インチのビーラバー(タイのタイヤメーカー)製タイヤを装備しています。120/70-12、130/70-12というタイヤサイズは125ccという排気量のクラスの中では若干太め。
ビーラバーというメーカーは日本ではあまり知られていないため、ユーザーも大丈夫かな? と思っている人が多いようですが、実際に乗ってみると、町乗りを普通に走る分には全く問題ありません。
グロムのタイヤは滑るというインプレッションを見ることがありましたが、気温1度の路面が冷えきった状態でも、普通に走れます。雨の日も雨の日なりの走り方をすれば、特に国産のタイヤと遜色ありませんでした。聞きなれないメーカーのため、不安を感じる方も多いようですが、先入観なしに乗ってみてください。