親戚や知人と同じ名前でもＯＫ
名前のかぶりは基本的には気にしなくてよい
Ｑ つけたい名前が親類や知人の子にいた場合はやめたほうがいいでしょうか？ 真似をしたように思われるのもイヤです。Ａ 同じ名前で現実に困るのは、同じ屋根の下で同居していて、電話の取次ぎなどで間違えるようなケースです。そうでなければ、親類や知人に同じ名前の人が居ること自体はまったく支障はありません。すでに親類がつけているからと心配される方もいますが、たまに会うだけの人が同じ名前でも何の支障もありません。名前は親が気に入った名前をつけるのが基本であり、たまたまその名前が親類や知人に居たとしても、偶然に好みが一致しただけであり、あとからつけた人が真似をしたということにはなりません。
よくある姓と名でも1万人に4人程度…意外と少ない同姓同名
自分の周りに同姓同名の人がいれば確かに混乱が起きるということはあるでしょう。とくに小さな集落で同じ名字の人ばかり、という地域は現実にありますので、そういう所に住んで名前まで同じ人が居れば郵便の誤配などいろいろな不便が生じるでしょう。もちろん同じ職場に同姓同名の人が居る場合もそうで、混乱がおきることは容易に想像できます。そしてこういうことについては、はるか昔の明治5年に「同姓同名の人が居て困る場合は改名を認める」という布告がすでに出され、現在に至っています。では実際に同姓同名の人というのは生じやすいものなのでしょうか。実は日本はもともと名字の種類が推定30万種と世界で飛びぬけて多く、最近は名前の種類も非常に増えているため、今では同姓同名の人が出現する確率は低いのです。よく「人気の名前をつけると同姓同名の人と間違えられる」と心配される方もいますが、たとえば日本で一番多い佐藤という名字でも人口の2％程度。最近の人気トップの「悠斗」という名前もやはり全体の2％くらいですから、「佐藤悠斗」という氏名は1万人に4人しかいないことになります。
ちなみにお隣の韓国では名字の種類が非常に少なく、金（キム）、李（イ）、朴（パク）の3つの姓だけで全国民の半分近くを占めますので、同姓同名の人が出る確率も大きくなります。アラブ諸国ではもっと大変で、名字を名乗らない人も多く、ムハンマドとかフセインとかいう名前が満ちあふれていますので、名前だけでは誰のことかわからず、電話帳など作ってもほとんど役に立たないくらいです。
同姓同名で起こる特殊な事件のケース
かなり昔のことですが、犯罪容疑者と同じ氏名で年齢も近かったために誤認逮捕されたという事件がありました。しかしこれは日本に同姓同名が多いからではなく、なまじ出現する確率が小さいために起きた間違いといえます。また今も伝わる話として、ある議員が選挙区に住む同姓同名の2人に年賀状を出した所、手違いで1人のほうに2枚とも配送され、うち１枚が１等賞の自転車が当たってしまったという話があります。自転車は当時の庶民にはぜいたく品であり、自転車はその年賀状に書かれた受け取り人のものか、誤配されて実際に所持している人のものかで争いになり、最後は年賀状を出した議員が仲裁に入って「2人で1か月交替で乗ってほしい」と言って和解させたそうです。
また平成の始め頃のことですが、俳優の加勢大周さんが所属プロダクションから独立したとき、プロダクションは別の人物を同じ加勢大周と名乗らせてデビューさせるという事件がおき、マスコミを騒がせました。結果としてプロダクション側がそれを取り消しましたが、赤の他人で同姓同名の芸能人が2人居たのでは紛らわしくて多くの人が迷惑します。ただし芸能の世界では親や先生と同じ名前を襲名することはあり、そのように皆がわかって納得しているならとくに問題は起きません。
