沖縄の観光・旅行/沖縄の離島

南大東島の概要・歴史・アクセス(3ページ目)

太平洋の絶海に浮かぶ南大東島は、台風の生まれる島として知られる島です。この島に人が住み始めてから、わずか100年ちょっと。それまでの歴史をほとんど無人島として、その存在自体も長い間知られることのなかったこの島は、私たちの知るところのない未知のパワーに満ちたロマン溢れる不思議な島。ダイナミックな魅力が詰まった南大東島についてお話します!

小林 繭

執筆者:小林 繭

沖縄ガイド

南大東島の概要と楽しみ方

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島のほとんどが青空と対をなすサトウキビ畑の風景

先に述べたとおり、南大東島は一度も陸地と繋がったことのない海洋島。しかも、島の周りの海は水深400mという深海。世界でも類をみないこの隆起環礁の島は、独自の生態系を持ち、地質学的にも日本とも大陸とも異なる特徴を持っています。海洋島の特徴として南大東島でも、動・植物に数々の固有種を見つけることができますが、人が住み始めてからわずか100年余りという短い歴史の中で、その自然構造のほとんどが未だ解明されず神秘に包まれたままです。
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集落を歩いていると、いかにも南国といったパワフルな植物たちの姿を目にする


そんな南大東島は、“島全体がまるごとミュージアム”とうたうだけあって、島のすべてが自然のパワーに溢れています。集落を歩いても、沖縄といえば何処でも目にするシーサーの姿もハイビスカスの姿もあまりなく、代わりに広がるのは大東島の代名詞とも言える一面のサトウキビ畑の風景。真っ青な空と灼熱の太陽に乾いた赤土が作り出すコントラストは、沖縄で目にするそれはとは全く異なるもの。どこか南米の見知らぬ国にでも降り立ってしまったと言ったほうがしっくりくる感じです。島の風景だけ見ていると、この島で人々が日本語を話すのが不思議に思える、といった感じなのです。
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青さが際立つ南大東島の海。台風時は荒波が押し寄せるため海岸付近は閉鎖され近付くことができません


島の大きさは、面積約31平方キロメートル、周囲約21キロメートル。すり鉢状になった中心に集落があり、海へ向かって標高が高くなるという変わった地形をしています。周りをぐるりと海に囲まれているのに、断崖絶壁のためビーチがひとつもない南大東島。他の沖縄の離島のように砂浜に寝転んで過ごす優雅なビーチライフは期待できませんが、海の水の透明度と美しさは格別です。言葉ではとても表すことができないので、ぜひ実際に目にして感動のため息を漏らして欲しいもの。

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海遊びように岩をくり貫いて作られた人工のプール

島での海遊びは、岩をくり貫いて作られた人工のタイドプールで泳ぐこと。プールの中でカラフルな魚たちと一緒に外海に押し寄せる波を眺める、という他の島ではちょっと体験できない海遊びです。

もちろん大東島の海は最高のダイビングポイントなので、ダイバーであればダイビング三昧がおすすめ。陸上同様、海の中にも非常に興味深い生態系が広がる大東島。深海の海で体験するダイトウブルーの世界の素晴らしさは、体験した者にしかわからない究極の青い世界。ダイトウブルーに呼ばれて繰り返し訪れるダイバーも少なくありません。

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固有種であるボロジノニシキソウは台風時には思いきり波をかぶる海岸エリアでたくましく生息している

島の散策では、南国の珍しい植物に加え、大東島の固有種探しが楽しめます。集落周辺に何気なく生えている木もダイトウビロウタイリンゲットと呼ばれるこの島の固有種。ダイトウビロウの木には、運が良ければこちらもこの島の固有種ダイトウオオコウモリの姿を見つけることも。東海岸の海軍棒プール付近には、台風時の荒波にも耐えられる海辺に生息する植物の固有種が多く群生するエリアがあり、ボロジノニシキソウオオソナレムグラなどの貴重な植物が自生している姿を目にすることができます。

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島の中心には池が多いのも南大東島の地形の特徴

また、意外に思うかもしれませんが、沖縄県で一番大きな湖水があるのがここ南大東島。カヌーに乗って池から池へと水路を渡りながら、マングローブや水辺に生息する草木を観察することもできるのです。西表島で体験するようなジャングルクルーズ的なカヌー探索とは大きく違いますが、南大東島のカヌー探索もなかなか楽しいので、自然観察に興味がある人にはおすすめです。

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島の地中部には美しく神秘的な鍾乳石が創り出す洞窟がいくつも点在する

そして、南大東島の一番の特色といえば、地底です。島に来てなぜ地底?と思うかもしれませんが、先にも述べたよう珊瑚が隆起して出来上がったこの島は、巨大な石灰岩の固まりで島全体が鍾乳洞のようなもの。一般の観光者用に足場が整備され設備が整った星野洞をはじめ、地底には120個以上の洞窟があると言われています。農地整備等で入り口が塞がれてしまった箇所も多く、現在出入り可能な洞窟は約40カ所。海洋島であることから地質学的に例を見ない特徴を持つ南大東島の洞窟は、地質学研究者の間では有名で、海外からも研究者が訪れる場所となっています。観光客もガイドをつければ洞窟に潜ることができるので、地底の神秘に興味がある人は、ぜひ地底探検として島の奥深くへ潜ってみてはいかがでしょうか。

ざっと、島の概要についてお話しましたが、後編では、実際の観光に役立つ島の見所や旅に欠かせない宿や食の情報をご紹介します。
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