なぜ、2014年は住宅新商品の当たり年になるのか
今年4月以降は8%、さらに来年は10%に上昇する消費税率。住宅業界には難しい局面となるため、今年は例年以上に質の高い住宅新商品が数多く発売されそうだ
というのも、消費増増税後など住宅市場が難しい状況を迎えそうな時期というのは、ハウスメーカーなどから「思い切った商品」が発売される傾向にあるからです。これまでにない新しいアイデアや技術が盛り込まれており、「お得感」が感じられるような商品といえばいいでしょうか。
住宅関連の技術は日進月歩ですから、その時その時で新しいものが出てくるのは致し方ないことなのですが、それが一挙に出てくる時期が増税後などというタイミングであり、まさしく今年はそうであるといえるのです。
大きな傾向として以下の三つがあると考えられます。
(1)省エネルギー性能のグレードアップ
(2)それによる増税への備え
(3)ゆえのコストパフォーマンスの向上
まずは、昨年後半期に発売された商品から見ていこうと思います。
最もわかりやすいのが、2013年後半を中心に登場した10kw超の大容量太陽光発電システムを搭載した商品の存在。具体的には、
・セキスイハイム「スマート・パワーステーション」
・パナホーム「カサート エコ・コルディス」
・ミサワホーム「ソーラーマックス」シリーズ
がそれにあたります。このうちパナホームの商品は昨年4月に発売されたものです。
太陽光の売電効果で20年スパンで高収入が見込める!
いずれも「再生可能エネルギーの固定買取制度」を活用した20年の売電を可能としており、20年のスパンで大きな売電収入を見込めるのが特徴です。それが実現できるようになったのは、太陽光発電パネルの発電効率をより高めたシステムが採用されているため。セキスイハイム(積水化学工業)の「スマート・パワーステーション」の俯瞰外観。10kw以上の太陽光発電システムが標準的な建物でも搭載できるのが特徴だ(写真はセキスイハイム提供。クリックすると拡大します)
一般的な住宅の太陽光発電システムは平均で3kw強程度ですから、その約3倍程度の発電量が見込まれるわけです。条件にもよるのですが、20年で750万円~100万円ほどの売電収入が期待できるという試算もあります。つまり、住宅を建てた後に、それだけの収益を生み出すということになるのです。
これが増税局面が一層強まるこれからの暮らしにおいて、大きなメリットになるというのがこれら商品の狙いなのです。ですので、このような商品は今後、住宅市場の新しいトレンドになると考えられるのです。
もっともイニシャルコスト(建築時のコスト)は、10kwタイプの太陽光発電システムと3kwタイプのそれではコストが大きく異なります。しかし、20年スパンでものをみれば十分元を取れるということになりますから、魅力的な商品といえるのではないでしょうか。
東日本大震災の発生は、スマートハウスという新しい住宅商品が世の中に普及するきっかけとなりました。しかし、当時は災害時における安心・安全や、省エネ・節電が大きなテーマでした。しかし、2014年はそこからさらにコストパフォーマンスをより高めた商品が、数多く市場に投入されようとしているのです。
次のページでは、2014年に初めて発売された商品についてみていきます。